“尼将軍”となる資質

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姉の北条政子(小池栄子)によって衝撃のラストを迎えた北条義時(小栗旬)。©️N H K

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甘糟りり子
1964年、神奈川県に生まれる。玉川大学文学部卒業。著書として『モーテル0467 鎌倉物語』『中年前夜』『ミ・キュイ』『長い失恋』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』『バブル、盆に返らず』など多数。2011年から読書会「ヨモウカフェ」を主宰。 

すべての回を録画してあるので、最終回の余韻を噛み締めてから最初の方を見直した。まだ政子や小四郎が伊豆のなんでもない豪族の娘、息子だった頃である。雅な出自の流人に必死で色目を使う政子や、方々に気を使い困り果てている優柔不断な小四郎を見て、さらに涙が出てしまった。あなたたちはこの先そんな無邪気な笑顔をすることができなくなるんですよ、と教えてあげたくなった。

 

とはいえ、匿われている源頼朝に積極的に食事を運び、話し相手となり、狙い通り頼朝と結婚する政子に、後に尼将軍になる資質を感じずにいられない。自分で意思を持ち、それを実行するという資質だ。

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伊豆国の豪族北条時政の長女だった北条政子(小池栄子)は、流人だった頼朝と恋に陥ちる。©️N H K
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鎌倉幕府初代将軍、源頼朝(大泉洋)は、無類の女好きであったが、生涯、正妻である北条政子(小池栄子)には頭が上がらなかった。©️N H K