ついに最終回を迎える人気ドラマ『silent』。心に残るセリフや先の読めない展開、愛おしい登場人物たちに心を掴まれる人が多く、もはや社会現象になっています。
最終回前にあらためて、この作品の魅力を構成や展開から振り返りたいと思います!
なかなか話が進まない、いい意味で予想を裏切る展開
この作品、基本的に予想したような展開にはならないところが面白いところだと思います。はじめ、紬(川口春奈)と元彼・想(目黒蓮)と今彼・湊斗(鈴鹿央士)の三角関係になって、最後紬がどちらを選ぶのかな? と思いましたが、3話で湊斗は「想に紬を取られるかもしれないことよりも、友達である想が自分に何も言ってくれなかったこと、想が病気になったこと」のほうがつらいのだと判明。4話にして湊斗は紬に別れを告げ、想に「紬、想の横にいるときが一番かわいいんだよね。知らなかったでしょ」と伝え、早々に自ら三角関係からログアウト。
そんなことされても紬と想だってはいそうですかとすぐに寄りを戻すわけにもいかないだろう……とは確かに思いました。思いましたが、10話になってもまだ2人が付き合わないとは思いませんでした。
そもそもこのドラマ、「話を進める」ということに重きをおいていません。
ここまでのメインの要素をざっくり振り返ってみましょう。
1話 紬と想・回想と再会
2話 紬と想・回想と再会その後(カフェ) 湊斗パーフェクト彼氏
3話 湊斗回想 紬と想・再会その後(カフェ) 想と湊斗友情(回想)
4話 想と湊斗・友情その後 想と旧友フットサル大会 別れ話
5話 別れ話 別れ話 完全に別れた後に付き合った日の回想
6話 想と奈々・回想 想、奈々と話す(カフェ) 奈々の叶わない夢
7話 奈々、本を返す 紬vs奈々(カフェ) 想と奈々図書館
8話 奈々と正輝・回想 紬里帰り・母と紬父の話
9話 想里帰り 佐倉家回想 想と佐倉家回復
10話 想と紬 想と湊斗 紬弟・想妹デレる 想「やっぱりつらい、声が聞きたい」
めちゃくちゃ回想している。話を進めるよりも、今までの経緯を丁寧に掘り下げるほうに重きを置いている物語です。ときにはつらいシーンを別の角度からもう一度味わうという鬼畜な展開にもなりますが、「過去に何があったんだろう」と思ったポイントはほぼ解消されている気がします。
一人ひとりをきちんと掘り下げ、背景が描かれることによって、一瞬嫌な感情を持った視聴者もいるかもしれない、紬や奈々(夏帆)、想の母・律子(篠原涼子)も含め、登場人物全員に共感ポイントやいいところが見えます。もちろんそれでも「この人は苦手」というのがある方もいるとは思いますが、さまざまな方向からその人の行動が見える作りになっています。
完全にいい人も、完全に嫌な人もいない、絶妙なさじ加減に個人的にグッときます。
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