年に一度のランナーのための祭典「東京マラソン2016」も無事終了。車いすの部を含め多くのアスリートや市民ランナー36000人以上もが東京を駆け抜けました。
優勝を争うトップランナーには東京オリンピック2020の主役候補の選手も続々出走し、話題になりましたよね。例年以上にテロ対策には気を配り、ランナーと同じ速度で移動しながら警備するランニングポリスを去年から導入。大都市東京はテロ対策も万全、というメッセージを世界に発信する絶好の機会になりました。
世界各国のマラソンレースでも、その大会を通じて様々なメッセージを伝えるためのユニークな試みが。例えば青少年の育成とチャリティを掲げた5万人以上が世界最大規模のNYCマラソン。まだ夜明け前にスタート地点でランナーは不要のコートを着込んで待つのですが、スタートの号砲で一斉に脱ぎ捨てるんです。それらのコートは集められ、寄付されるってわけ。5万着以上のコートなんて圧巻ですよね~。
フランスボルドー地方の20以上のシャトーが協賛しているメドックマラソンのエイドはなんとワイン! 優勝者には体重分のグラン・クリュ(特級ワイン)が贈られるそう。実はこの大会、ワインは身体にいいことを伝えようとするフランスの医師が立ち上げたフルマラソン。その意地にかけても美味しく、楽しく、健康に完走することをモットーとしています。翌日には医師会が開かれ、レースのデータをスポーツ病理学の研究にも役立てているのだそう。
日本のレースにも様々なメッセージを掲げるマラソンイベントが。4月10日に多摩川で開催されるPARACUPは「世界の子どもたちに贈るRUN」がテーマのチャリティマラソン。大会の収益は共催する複数のNPO、NGO団体を通じ、世界の子供たちへ届けられます。ハーフ、10キロ、5キロの部があり、完走メダルはフィリピンをはじめ各国の子供たちが手造りしたペンダント。コース上のボランティアスタッフとのハイタッチもこの大会名物で、ゴールの感動は格別です。
12回目となる今回から、クラウドファンディングレースの部も開設。参加者が周囲の人々に声をかけ寄付金を募る、海外では浸透しているチャリティのスタイルです。ランナー自らが、この大会の想いを伝えるスポークスマンになるということですよね。これは新鮮。
私自身、ランナーや和太鼓での応援ボランティアなど様々な立場でPARACUPに参加してきましたが、みんなでシェアする喜びを感じられる大会なんです。ピクニック気分で1日をハッピーに過ごせますよ。
春の一日、世界の子どもたちへのメッセージを込め、誰かの笑顔のためにチャレンジしてみませんか?
PROFILE
間庭典子/フリーライター。取材をきっかけに走りはじめ、ランニングやゴルフなどウェルネス関係の分野でも活躍。