【片づけの悩み①】「もったいない」という執着心を捨ててもらうには?


家族全員が使うスペースに置いてあるモノに対し、「これ、要るの?」と聞いてしまうのは失敗の元。モノを手放す罪悪感が、部屋が綺麗になるというメリットを上回ると、「一応、とっておいて」と回答されてしまうからです。

「リンゲルマン効果」という心理学用語があります。社会的怠惰(フリーライダー)現象とも言われ、集団の人数が増えるほど、1人あたりの課題遂行力が減少するというもの。妻が、「家族全員で部屋を綺麗に保とうよ」と集団心理に働きかけても、残念ながら普段から主体的に家事を行なっていない夫や子どもにとっては他人事。リビングで過ごす時間が短く、家事を行なわない夫や子どもは、リビングにモノが1点増えようが減ろうが、自分の生活に影響なしと捉えてしまいます。その結果、妻だけが片づけを頑張り、「非協力的だ」と家族との間に溝が生まれる結果となります。

キッチンの収納スペースも家族で分ける


では、どうすれば家族が協力してくれるのでしょうか。手っ取り早いのは、個人の収納スペースに対する考え方を変えること。夫・妻・子どもそれぞれの個人の収納スペースを、部屋単位で区切るだけでは不十分です。

各部屋の収納スペースも、個人に割り振っていきます。

たとえば、「1ヶ月以内の家事に必要なモノ」を優先的に配置したら、残りの収納スペースを家族で均等に振り分けます。「調理用具は全てキッチンに置く」とカテゴリごとに保管場所を決めてしまうと、毎日の調理に使う用具と、年に数回しか使わないような用具が混在してしまい、モノの溜め込みを誘発してしまいます。

1ヶ月以内に使う用具のスペース以外は、個人に平等に分けましょう。極論すれば、キッチンの空きスペースに、個人の本や洋服を詰め込んでもいいわけです。家全体で個人の収納スペースが平等になるよう、場所をトレードしながら区画を割り振っていきます。

 

ポイントは、「持ち物が多い・少ない」で不平等なスペース分をせず、スペースを平等に分けること。モノ収納スペースが足りない場合は、自宅内の収納スペースは増やさず、外部収納サービスを利用してもらいましょう。自分の持ち物が少ないからとパートナーにスペースを融通したり、良かれと思って個人スペースの整理を手伝っていると、いつまでたってもパートナーの溜め込み癖は治りません。区画だけ分けたら、ドライに放っておくのです。

 

マンションの共用部である廊下にモノを置いてはいけないように、テーブルの上や洗面台、床の上などの共有スペースに私物を置くのは一切禁止です。家族のモノを見つけたら個人のスペースに投げ入れておきましょう。収納スペースには、家族の名前シールやキャラクターシールを貼っておくと、ひと目で誰のテリトリーかがわかります。