「あの頃はよかったなぁ」なんて言う大人にだけはなりたくないと思っていたのに、『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)を観ていると、戻ることができない“あの頃”に思いを馳せてしまう自分がいます。

だってバカリズムの脚本が、私たちの心のなかにある“エモの扉”をこじ開けてくるんですよ(号泣)。たまごっちの成長に一喜一憂していたあの頃。新学期が始まるたび、セコセコとプロフィール帳を配り歩いていたあの頃(中学時代に書いたプロフィール帳とか、絶対に黒歴史じゃん……)。当時は当時で大変なこともあったんだろうけど、やっぱり戻りたくなっちゃう。
 



リアリティを感じさせるいちばんの理由は、バカリズムが紡ぐ“台詞”にあり
 

『ブラッシュアップライフ』は、33歳の若さで死んでしまった主人公の麻美(安藤サクラ)が、同じ人間に生まれ変わって、人生をゼロからやり直していく物語。そもそも、設定がかなーり破茶滅茶ですよね? 同じくバカリズムが原作・脚本・主演の『架空OL日記』が大好きな私は、「なんだ、今度はファンタジーかぁ」と思っていました。それなのに今では、「こんなにリアルが詰まっている作品、そうないぞ……!」なんて正反対な感情を抱いている。きっとこれが、バカリズムマジックなんだと思います。

そして、視聴者にリアリティを感じさせるいちばんの理由は、やっぱりバカリズムが紡ぐ“台詞”にある。心のなかでは思っていても、わざわざ口に出さずスルーしていたようなことをすくい取ってくれるのが、バカリズム作品なんです。
 

完璧な上に性格までいい女の子って、むしろ性格悪くない?
 

麻美の同級生・真里ちゃんは、勉強ができてスポーツもできて、顔も可愛いのに性格までいい完璧な女の子。みーぽん(木南晴夏)となっち(夏帆)とのいつメン会で真里ちゃんの話が出た時、麻美は「あそこまで優秀で性格までいいって、むしろ性格悪いよね」と言い放ちました。

この台詞、「めっちゃ分かるわぁ〜」と思った人も多いのでは? 妬むこともさせてくれないし、褒めるしかない(いや、褒めたらいいんだけど)。この子、ちょっとくらい欠点があればいいのに! って。

みんな思っていても言わずに秘めてきたことを、サラッと言わせてしまうのがバカリズムの凄みなんですよね。「サービスのポテトって、残しづらいからありがた迷惑だよね」って会話も、めちゃくちゃ共感しちゃいました。