スタイリスト福田麻琴さんが、身の回りの”愛するモノ”について語ります。

 

30歳の時、フランスに留学しました。
パリジェンヌがみんな黒スキニーをはいていて衝撃を受けました。
それまで、私の中でデニムと言ったらブルーが当たり前だったから。
もちろんブルーデニムの人もたくさんいましたが、日本とは比べ物にならないくらい黒スキニーをはいている人が多かったんです。
いい意味で柔軟性があって、悪い意味で流されやすい私は、まんまと黒スキニーに手を出し、赤リップを買い、パリジェンヌベーシックに染まったのでした……。
我ながら、わかりやすい〜(笑)。

 

黒スキニーは普通のブルーデニムよりキレイ目でクールな印象があります。
デニムの抜け感はありつつも通勤できるくらいの真面目な印象も。
それがパリジェンヌにビビッときていたのかわかりませんが、とにかくよく見かけたのは事実。
合わせも笑っちゃうくらい一緒で、ジャケットにインナーはシャツかTシャツ、そこに黒スキニー。
足元はショートブーツが定番で、その当時はスニーカーならスタンスミスだったなぁ。
今ならニューバランスやVEJAとか、スニーカーの選択肢はもっとありそうね。
そこから黒スキニーの持つキレイさと、ちょっとロックな雰囲気の虜となり、今もマイ定番アイテムとなったわけですが、ここに至るまでにはたくさんの出会いと別れがありました。
固くて厚手のしっかり黒スキニー、柔らかくて楽チンの黒スキニー、ひたすら高い黒スキニー、あったか黒スキニーやプチプラ黒スキニー。
どれもその時は心からいい! と思って買ってみたのですが、すぐ膝がでてしまったり、白っぽく色褪せてしまったり……。
高ければいいというわけではないのですが、なんだかんだで結局アクネに戻るということを繰り返しています。
アクネはとにかく丈夫。
生地がしっかりしていて、ちょっとやそっとで膝が出たりしない。
洗ってもすぐに色褪せることはありません。
それなりに値段はしますが、何度も買い直すよりよっぽどコスパがいいと思ってしまう。

 
 

あまりにも定番化したスキニーデニム。
特に私にとって黒はなくてはならない存在です。
最近はシルエットのあるバルーンやカービィが人気のデニム事情ですが、やっぱりいつかここに戻ることを知っているから、トレンドじゃないシーズンでも大切に保管しています。
こんな風に戻れるアイテムがあるって、実は帰る場所があるってことです。
それってとても心強いことです。
帰る場所があるから冒険できる!
私が新しいデニムに積極的に挑戦できるのも、黒スキニーがあるおかげかもしれません。

 
 

写真・文/福田麻琴
 


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