作家・ライターとして、多くの20代~40代の男女に「現代の男女が抱える問題」について取材をしてきた佐野倫子。その赤裸々な声は、まさに「事実は小説より奇なり」。社会も価値観も変化していく現代の夫婦問題を浮き彫りにします。

今回検証するのは「子どもの教育における価値観がずれている夫婦」。まずは前半でご主人のお話から伺ってみましょう。

この問題、なかなかに、複雑です。

「家は都心一択、中学受験は絶対条件」笑顔で譲らない私立育ち妻の狂気。公立推し夫の反論とは?_img0
 
取材者プロフィール
 夫:正勝さん(仮名)43歳、金融系企業の会社員
妻:美佳さん(仮名)43歳、メーカーの会社員
     
 

自他ともに認める「似た者夫婦」だったのに……!?


「妻と知り合ったのは、英会話スクールでした。平日の19時からのクラスで、授業後皆で食事に行って、話すように。偶然にも同じ大学の卒業生の同い年であることがわかりました。第一印象は、聞き上手で明るい女性だなと。旅行が好きなこと、食べ物の趣味が同じことで意気投合しました」

スクールの半年コースを修了する頃にはお付き合いが始まったという2人。そのまま順調に3年間の交際を重ね、29歳の時に結婚します。正勝さんの会社の社宅に入り、順調な結婚生活の始まりだったと言います。

「2人暮らしなので家事はさほど多くなく、共働きですが問題になることもありませんでした。例えば夕飯は妻が作って、僕が片付ける、アイロンは僕がかける、という感じで……揉めることもなく、ケンカもしたことがなかったですね。僕たちはとても相性がいいと感じていたし、疑ってもいませんでした」

新婚生活を満喫した3年が経ち、社宅を出る期限が近づくなか、妻の美佳さんが妊娠。待望の第一子の誕生を機に、新居を探し始めます。

ここで、予想外のことが起こりました。正勝さんと美佳さんの家探しの基準が、一から十まで異なっていたのです。