ミドルエイジの女性の身体はまさにジェットコースター。

個人差はありますが、日本人女性の平均閉経年齢は約51歳と言われています。その前後5年の10年間を更年期と呼び、閉経を機に女性ホルモンの分泌量が激減することにより、女性の身体には大きな変化が訪れます。さまざまな不調が更年期症状として表れたり、ひどくなると更年期障害として日常生活に支障が出るケースもあります。

閉経による心身の変化をなるべく平穏に乗り切るためには、ひとりで抱え込まないことが大切です。ウィメンズヘルス・予防医療の第一人者である、女性ライフクリニックの対馬ルリ子先生は「身体の悩み、心の状態、自身と家族の生活の相談など、閉経前後の体調の変化についてなんでも相談できる『かかりつけ医』を今のうちから探すことが大切です」と言います。

かかりつけ医はどうやって探せばいいの? 
具体的にどんなときに受診するべき? 
どんなことを相談できるの?

女性にとって人生のパートナーとなってくれる「かかりつけ医」について対馬先生に伺いました。

 


閉経によって起こる心身の変化。乗り越えるには「かかりつけ医」というパートナーが必要

 

女性なら必ず訪れる「閉経」。

80歳ごろまでかけて、ゆるやかに男性ホルモンが減少していく男性とは違い、女性は50歳前後の閉経を機に女性ホルモンが100からほぼ0にまで激減します。そんな大きな変化を迎えるのだから「閉経前後にさまざまな不調が出てくるのは自然なこと」と対馬先生は話します。

「更年期、女性はまるで病気のデパートのようにさまざまな不調に襲われますが、それは隠したり我慢したりする必要はありません。大切なのは、閉経前後には女性の身体にこういったことが起こるという、正しい情報を持っておく『ヘルスリテラシー』を人生の早いうちから上げておくこと。そうすることで自身の異変をいち早く察知して、対応することができます」

<更年期で起こりやすい症状>
・ホットフラッシュ、多汗、ほてり、のぼせ
・冷え
・だるさ、疲れやすさ、倦怠感、やる気がでない
・頭痛、偏頭痛、頭が重い
・動悸、息切れ、息が苦しい、喉の詰まり感、手の震え
・めまい、浮遊感、ふわふわ感、耳鳴り、耳閉感、
・手足のこわばり・変形、四十肩五十肩、関節痛、腕や足のしびれ、体のきしみ
・肩こり、首こり、腰痛、背中の痛み、筋肉の張り
・お腹の張り、腹痛、下痢、便秘、消化不良、逆流性食道炎
・太る一方、痩せる一方
・むくみ
・目のトラブル(疲れ目、かすみ目、ドライアイ)
・皮膚トラブル(乾燥やかゆみ、湿疹、かぶれ)
・乳房の張り、乳首の痛み
・持病の悪化(高血圧、糖尿病、脂質異常症、喘息、メニエール病、リウマチなど)

※参考文献 「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる! 対馬ルリ子, 吉川 千明 (著)・集英社

ヘルスリテラシーを上げるといっても、ネット情報やSNSでの個人的な書き込みなど間違った情報も多い現代。何が自分にとって大事な情報かわからないという不安もあります。
そこで、頼りになるのが「かかりつけ医」の存在です。

 

「女性はできるだけ早いうちからかかりつけ医を見つけて、訪れる心身の変化に備えておくことが理想的です。閉経前から健康に対する意識、女性のからだをどうやってケアするか、そういう知識や生活習慣を医師と相談しながら正しく身につけておくことができれば、60代以降の生活の質がまったく変わってきます。

すでに更年期に突入している、あるいはポスト更年期であっても、身体に対して正しい知識を持ち、現在抱えているささいな不快感でも相談できるようなかかりつけ医がいれば、生活の質を大きく向上させることができますよね」