飲酒習慣と認知症リスクの関係。飲酒量は、多すぎても少なすぎてもリスク増!


山田:この研究では、一日のアルコール摂取量を、「軽度」(ビール1缶以内)「中程度」(ビール1〜2缶以内)「過度」(ビール2〜3缶以上)に分類し、認知症の発生率に違いがあるかを調べました。

 

編集:結果はどうだったのでしょうか?

山田:「過度」と分類された人たちと、認知症リスクの高さとの関連性が見られました。

編集:結果は予想通りでしたが、1日にビール2缶を超えたら、もう「過度」と分類されることが意外です。

山田:そうですよね。また、飲酒習慣がまったくない方も、認知症リスクの高さとの関連性がみられました。一番認知症リスクが低いのは、1日にビール1〜2缶程度までを飲む「軽度」に分類された人々だったのです。

ただ、この研究を見る際にも、注意が必要です。たとえば全くお酒を飲まない人の中には、そもそも病気だからこそ飲酒習慣がなく、健康状態が悪い方を含んでいるからこそ、認知症発生リスクと関連している可能性もあります。特定の病気は統計学的に調整をした上で関連性が評価されていますが、調整できていない因子もあります。

編集:なるほど……。ちなみに、少量のアルコール自体に、認知症リスクを減らす効果があると思ってもよいのでしょうか?

山田:軽いアルコール摂取が脳の炎症を減らし、認知症に保護的に働く可能性は、基礎的な研究に示唆されています。ただ逆に、アルコール摂取は過度になれば、神経細胞の破壊に繋がる、という指摘もあります。

編集:私はお酒を飲みますがごく少量なので、この研究結果を聞いて少し嬉しくなってしまいましたが……。