研究結果を見るときに注意してほしいこと
山田:研究結果だけ聞くとそう感じてしまうかもしれませんが、たとえば年齢を重ねると代謝が悪くなり、同じ量のアルコールが持つ意味も、変化しますよね。個人によって代謝も異なりますし、こうした研究を一般化し、どの程度個人に当てはめてよいかは、少し注意する必要があります。
編集:たしかに! 体格や年齢の違いは、考慮しなくてはいけませんね。
山田:そうですね。この研究が教えてくれることは、「1日ビール2缶を超えると、認知症にとっては過度の飲酒である可能性がある」、という点なのではないでしょうか。
編集:ビール2缶と聞いて、「過度な飲酒」をイメージされる方は、少ないかもしれませんね。覚えておきたいと思います。
山田:少し話は逸れますが、過度なアルコール摂取以外に知られている認知症リスクとして、「社会的孤立」があります。適度な飲酒習慣がある方は、一緒にお酒を飲むような友人や家族がおり、孤立や孤立感が少ないということも、研究結果に関連したかもしれません。
編集:私たちの身近にあるお酒と、認知症の関係についてあらためて勉強になりました。人間関係を大切にしながら、ほどよくお酒を楽しみたいなと思います! 本日もありがとうございました!
<新刊紹介>
『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』
著:米マウントサイナイ医科大学 米国老年医学専門医 山田悠史
定価:本体1800円(税別)
講談社
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高齢者の2割には病気がないことを知っていますか? 今から備えればまだ間に合うかもしれません。
一方、残りの8割は少なくとも1つ以上の慢性疾患を持ち、今後、高齢者の6人に1人は認知症になるとも言われています。
これらの現実をどうしたら変えられるか、最後の10年を人の助けを借りず健康に暮らすためにはどうしたらよいのか、その答えとなるのが「5つのM」。
カナダおよび米国老年医学会が提唱し、「老年医学」の世界最高峰の病院が、高齢者診療の絶対的指針としているものです。
ニューヨーク在住の専門医が、この「5つのM」を、質の高い科学的エビデンスにのみ基づいて徹底解説。病気がなく歩ける「最高の老後」を送るために、若いうちからできることすべてを考えていきます。
構成/新里百合子
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