こんにちは。
最近、マリメッコのラテマグを買いました。

「北欧、暮らしの道具店」でずっと気になっていたもの。カートに入れて、しばらく悩んでいたのですが、〔ミモレ編集室〕のお友達が、大好きな柄だというのに背中を押され購入。
絶妙な厚みとフォルムは、いざ飲もうと持ち上げたときに、すうっと手になじみ、ホッとします。「VIHKIRUUSU(ヴィヒキルース)(フィンランド語で結婚式のバラの意)」の模様は、大胆さがありながら温かさを感じ、ブルーグリーンのやわらかな色味は、大好きな色。眺めていて飽きません。なんてカワイイ色なんでしょう。たまりません。

ミルクコーヒーや麦茶、ちょこっと飲みたいスパークリングワインも、このマグに入れて飲んでいます(安定感があるので、酔っぱらってこぼすリスクがないのもよいところ)。
そして、最近もう1つ(2つ?)購入したのが、「ミナペルホネン」のトレイの小サイズ。

大サイズは、違う柄の2種類、以前購入済みでした。毎日食器を運ぶとき、1人用のご飯を作って食べるとき、お友達が来て人数分のお皿を重ねておくとき、たまに娘が工作をするときにも、その大サイズの「ミナペルホネン」のトレイを使っていて、とても重宝しています。
トレイがある生活って、好きな色、模様、デザインのものが自然に目に入るので、それだけで毎日に潤いがプラスされます。当たり前かもしれないけれど、目から入ってくる情報って大事なのですねえ。ほんとに。
小サイズは、カップと小皿がちょうど置ける大きさなので、ちょっとしたおつまみとワインを飲みたいとき、1人でこっそりコーヒーとケーキを嗜むときに便利だろうなと購入を決めました。
買って大正解! PCを見ながら、刺繍をしながら、こぼしても大丈夫なトレイにカップが乗っていると、それだけで安心感があります(よくこぼす派なので)。しかもカワイイ。最高!

闘病中の母が、お皿を買った
このマグやトレイを買って、ふと「母が闘病中に好きなお皿を手に入れたこと」を思い出しました。
介護中の時のこと。車椅子に母を乗せて、近所を散歩していたとき、新しくできた小さなお店を見つけました。外からのぞくと、お店の中には、色とりどりの洋食器がきれいに飾ってありました。
「こういうお皿とか、今あってもさ、しょうがないしね。場所とるし。」と私が言いながら、車椅子を押し、先へ進もうとすると、母が止めました。そして、車いすから身をのりだし、「見たい」と言いました。
まだネットショップが今ほど一般的でもなく、充実していなかった時代。気軽に1人で外出できるわけではない母にとっては、そのお店がキラキラして見えたのだと思います。母と私は、そのお店の扉を開けました。
「ウエッジウッド」や「マイセン」「ロイヤルコペンハーゲン」などの、やわらかな色合いと可愛らしいデザインの洋食器が並ぶそのお店で、母は、「ヘレンド」の「ウィーンのバラ」のお皿をチョイス。

私にも好きなお皿を選ぶように言い、私は、「ウエッジウッド」の「コロンビアセージグリーン」のお皿にしました。

その2つのお皿は、少し高価ではあったけれど(今の値段ほどではなかったけど)、毎日の食事のときに、躊躇なく使用しました。野菜炒めも、焼き鮭も、サバの味噌煮も。そのお皿にのせて、食べました。母も私も、いつもより、ちょっと美味しく感じるねと言って食べました。
それまで私が、母の闘病生活に彩りを与えるためにとしていたこと。それは、面白い話をする、好きなもの(葛切りとか)を食べさせたい、演劇を観に行くなど、はっきりとした、イベント的ななにかでした。
でも、そういう瞬間的なイベントではなく、毎日つづく母の変わらない生活に、好きなお皿が1つ増えるということ。それだけなのに、母の心がじんわりと温かくなり、グレーな日常が明るくなりました。
食器って、「ただ使う」ということだけではなく、人の心にこんなにも変化をもたらすものなのだと、遅ればせながら、私はそのとき、初めて気づいたのでした。そのお皿は今でもしっかり使っています。母を喜ばせてくれた大切なお皿です。
晩年、よく食べ物をこぼすようになっていた母に、可愛いトレイも、使ってあげればよかったなあと、「ミナペルホネン」のトレイに出会った私は、思うのでした。

『私的今週のミモレ刺繍』

ではまた、月曜日に。
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