体と心が元気になる方法とは?
毎日の生活や人間関係でストレスがたまり、疲れちゃった……。そんなときの自分の心ってどうなっているの? どうしたらいいの? そんな悩める心のしくみをやさしいイラストと文章でかかれた絵本を見つけました。
今、注目の絵本『こころってなんだろう』には、子どもたちに向けて「心」がどのように育っていき、どう付き合っていけばいいのかがわかりやすくかかれています。大人にとっても、心に響く内容となっています。
うつ病でつらい夫に寄り添う『ツレがうつになりまして。』で知られる著者の細川貂々(てんてん)さんは、疲れた心を整えるには「推し活」が効果的と言います。細川さん自身はタカラヅカの大ファン。そこで、『こころってなんだろう』を紐解きつつ、タカラヅカ推しの細川さんの経験を絡めながら「体と心が元気になる方法」を伺いました。
「推し活」は、とてもよく効く栄養補助食品
──仕事や子育て、介護など、疲れている人がたくさんいます。疲れた心を整えるために、どうしたらいいのでしょう。
細川貂々さん:「推し活」がおすすめですよ。好きなものを見つけて心の支えにすると、推しの対象と推している自分自身との間で心が輝き、潤うのです。同じ推しを持っている人と友だちになったりして、人とのつながりもできますよ。
──細川さんご自身はタカラヅカに足しげく通われているそうですね。タカラヅカの魅力はなんですか?
細川さん:「とてもよく効く栄養補助食品」です。それを飲むと影響が吸収されてお肌もツヤツヤになり、気持ちも明るくなって大変なことも頑張れるようになる。タカラヅカを観に行くためにおしゃれもしようと思いますし、そんなところも楽しいですよ。
タカラヅカは、10代から30代までの娘さんの真剣勝負の舞台です。タカラヅカの舞台に立っている人は私たちと比べ物にならないくらい頑張っていて、誰もあの人たちには勝てないと思います。舞台を観ていると、彼女たちのエネルギーがわーっと押し寄せてきて、そのエネルギーをもらえちゃうんです。
──「栄養補助食品としての推し活」は、どれくらいのペースで摂取すればよいのでしょう。
細川さん:定期的でないとダメです。お肌にいいドリンクは、毎日飲むでしょう? 私自身はだいたい2週間に1度のペースで、花・月・雪・星・宙(そら)組の5組をまんべんなく観ています。まずタカラヅカの公演を中心にして、そのあとで他のスケジュールを考えるという生活ですね。タカラヅカのあの素晴らしい舞台を観たら、誰でもきっと心が変わると思いますよ。
「ネガティブ思考クイーン」をやめるには、どんな自分でも認めてあげること
──今はこんなに明るく「推し活」をされていますが、もともとはご自分に自信がなかったそうですね。
細川さん:「ネガティブ思考クイーン」でした。ネガティブな考え方が好きで、自分をわざわざネガティブに追い込む女王。でも、それを続けていると、悪いことばかり考えて「どうせ自分はダメだ」と思うようになってしまい、その連鎖でとてもつらい。ネガティブ思考に入ってしまうと、誰の言葉も耳に入ってこなくなってしまうんですね。
細川さん:そして、その話を聞かされる周囲の人もつらい思いをします。それに気づいたので、私は卒業できたんです。
──どうしたら「ネガティブ思考クイーン」をやめられますか。
細川さん:自己肯定感を上げるしかありません。「どんな自分でも認めてあげる」という訓練をするのです。「ダメな自分も、嫌いな自分も私自身だ」と認めない限り、ネガティブな思考からは抜け出せません。
絵本は自分の純粋な部分に直接響く
──『こころってなんだろう』は、細川さんがお描きになった初めての絵本です。家のリビングでページをめくっていたら、気持ちが安らぎそうな本ですね。大人が絵本を読むことには、どのような効果があるのでしょう。
細川さん:どんな大人でも、純粋な子どもの部分が残っていると思います。その子どもの部分に、絵本はスッと入ってくるんですね。自分の純粋な部分に直接響く役割として、絵本はとても有効なのではないでしょうか。
──女性が心の中に持っていたい言葉はありますか。
細川さん:絵本の中にも書きましたが、「こころがじぶんのまわりの世界をつくるよ」と心に留めておいてほしいですね。
──まわりの状況が悪いから自分が大変なんだ、などと言って、ついついまわりのせいにしがちですよね。でも、自分の心の持ちようでまわりの世界も作っていけるし、変えられると思うと心も軽くなりそうですね。
では、女性にとって「私の心」とは、どんなものでしょう。
細川さん:心というのは幻です。いつもころころと変わっていて、一時的に形をつくる波のようなもの。だから、自分の心に振り回されなくていいんですよ。
──気持ちがぐったりしているとき、心が振り回されているとき、もちろん元気なときも、『こころってなんだろう』の絵本のページをめくると、心にぴったり響く言葉があらわれそうです。誰にでも悩みがある、だけどきっと解決方法があるよ、と励まされますね。
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『こころってなんだろう』
細川貂々 (著) 1595円 講談社
映画化もされた『ツレがうつになりまして。』や、水島広子医師との共著「それでいい。」シリーズなど、心をテーマに数多くのベストセラーを描いた作家・細川貂々氏による、「こころ」について学べる絵本。
何もわからなかった赤ちゃんから、コトバを覚えて子どもになって、「わたし」のこころがどんなふうにうまれるか、どんなことで変化するか、どうやってきもちをつたえるか、など、子どもも大人も繰り返し読んでおきたい<こころとの付き合い方>を、わかりやすく教えてくれます。
シリーズ化決定! 第2弾は「みらいってなんだろう」先のことがあれこれ心配になる人も読めば安心できる。
●プロフィール
細川貂々(ほそかわ・てんてん)
1969年生まれ。セツ・モードセミナー卒業後、漫画家、イラストレーターとして活躍。夫と息子がいる。夫のうつ病を描いた『ツレがうつになりまして。』(幻冬舎)がドラマ化、映画化もされ、大ベストセラーとなる。そのほかの著書に『イグアナの嫁1~3』『本当はずっとヤセたくて。』『タカラヅカが好きすぎて。』(すべて幻冬舎)、『息子の将来、だいじょうぶ?』(平凡社)、『てんてんの大丈夫、きっとうまくいく。』(三笠書房)、『ボクはひとりで平気だもん! ぷにぷに』『それでも母が大好きです』(ともに朝日新聞出版)、『てんてん哲学に出会う』(中野商店)、『そして〈彼〉は〈彼女〉になった』(集英社インターナショナル)、共著に『それでいい。』(創元社)など多数ある。
●聞き手
高木香織(たかぎ・かおり)
出版社勤務を経て編集・文筆業。2人の娘を持つ。子育て・児童書・健康・医療の本を多く手掛ける。編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『子どもの「学習脳」を育てる法則』(ともにこう書房)、『部活やめてもいいですか。』『頭のよい子の家にある「もの」』『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』『かみさまのおはなし』『エトワール! バレエ事典』(すべて講談社)など多数。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)がある。
文/高木香織
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