好きな物事やライフスタイルがブレない一方で、新しい流行や情報も積極的に追いかけ必要に応じて取り入れる柔軟さも持ち合わせている、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さん。長年、第一線で活躍されていますが、昔からちっとも変わらない、肩の力の抜けた自然な若々しさに、お会いする度に密かに驚愕させられます。多くのアラフィフ女性がぶち当たるであろう「そんなつもりなくても迫力出てしまう問題」とも無縁そうです。

本連載ではなめ子さんが自らのアンテナに引っかかった事象を紐解く過程をコラム+漫画の形でお届けすると同時に、「アラフィフの壁」を無理なく、軽やかに越えるヒントを読者の皆様に与えられれば幸いです。今回は女性ファンが近年増加中、コロナ禍の影響も受けつつも人気を誇る相撲の最新事情をなめ子さんが独自の視点でレポートします。

イラスト/辛酸なめ子


下町のユルさと混ざって、格調と人情が渦巻いている独特の空気感


かつて相撲ファンの女性を表す「スージョ」という言葉もありましたが、最近は「推し活」の波が相撲にも波及しているようです。相撲には全くの不勉強ながら、5〜6年ぶりに大相撲を観戦いたしました。

 

訪れたのは、両国国技館の大相撲9月場所。国技館は相撲をはじめ、かつてはダライ・ラマの講演会など、格式高いイベントが多い印象です。下町のユルさと混ざって、格調と人情が渦巻いている独特の空気感が。コロナ禍ということもあり、会場近くには「入待ち出待ち禁止 ファンサービスは自粛中です」という看板が立っていました。観客はマスク着用で、消毒など感染対策もしっかりしています。客席を見るとかなり入っていて、空席率は少なく、根強い人気を実感。

観戦前にロビーやショップを見て回りました。ロビーには「ハッキヨイ! せきトリくん」の「ひよの山」というゆるキャラがいました。黄色い体に廻しをしめた姿で、横綱を目指しているだけあってアグレッシブ。スタッフのお姉さんを壁に追い詰めて、ポールで囲い込んでいました。

なめ子さんが激写したゆるキャラ「ひよの山」。諸々のタイミングが重なり、ひよの山がスタッフのお姉さんを壁ドンする5秒前? みたいなショットに。

やんちゃなゆるキャラにさっそく癒されながら、ショップの方へ。相撲茶屋が並んでいる通路は風流な雰囲気。自分には縁がないエリアだと思っていたら、マス席には相撲茶屋のお土産引換券がついてくることがあるらしく、それを知らずにスルーしていました。

あとで茶屋のおじさんが「来てないかと思ったよ〜」と席まで確認に来て、お弁当などを届けてくださって恐縮。素人なのでお土産の存在を把握しておらず、自主的に飲食物を購入してしまいました。売店のおばさんに「ポテチは昔あったけどないね」と言われて残念がっている場合ではありませんでした。このあたり事前の確認が必要です。

 
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