薬の副作用、ダイエットにおいて大切なこと
山田:この研究では、プラセボ(偽薬)の投与を受けた方、本物のチルゼパチドの投与を受けた方の体重減少率を比較したのですが、プラセボの投与を受けた方の体重減少率は、2%でした。比較すると、チルゼパチドの体重減少率はとても高いですよね。
これまで減量手術で得られていた効果に匹敵するインパクトがあったということで、肥満治療の世界を変える治療薬になるのでは、と期待されています。
編集:肥満による健康問題が深刻なアメリカでは、ポジティブなニュースですよね。
山田:現状では、アメリカでも糖尿病がなければ、肥満治療のためだけにこの治療薬を使うことはできません。アメリカ食品医薬品局での承認が必要になります。日本に入ってくるときは、再試験が課される可能性があり、その後に厚生労働省による承認のプロセスに入ることになるでしょう。
編集:まだまだ先になりそうですね。ちなみに、高い効果が期待されている「チルゼパチド」ですが、副作用などはあるのでしょうか?
山田:類似の薬の副作用として多く見られる、吐き気や嘔吐などの有害事象が報告されています。そもそも食欲を抑えて体重を減らすという薬ですので、想像の範囲内の副作用ですね。
やはり肥満も、原因に対処する、というのが最も安全で有効な方法です。たとえばわかりやすく食べ過ぎている場合などには、薬でコントロールしようとせず、食事をコントロールするのがよほど安全です。
編集:「最強の痩せ薬」と聞いて、楽に痩せることができるかもしれない! と一瞬思ってしまいました……。体重が気になる場合は、生活習慣を見直したいと思います。ありがとうございました!
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『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』
著:米マウントサイナイ医科大学 米国老年医学専門医 山田悠史
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構成/新里百合子
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