米アップルが同社サービスの利用者向けに4.15%という驚異的な金利の預金サービスを開始しました。今のところ米国人向けのサービスであり日本人は利用できませんが、同社は日本市場進出に意欲を示していると言われます。アップルという著名企業による事実上の銀行業務参入は、日本の金融サービスにも大きな影響を与えそうです。

写真:Shutterstock

新しい預金サービスは、米国の投資銀行大手ゴールドマンサックスと組む形で提供されます。アップルが米国で展開するクレジットカードの利用者が対象で、普通預金口座のサービスを受けることができます。

 

最大の注目ポイントは金利で、お金を預けると何と年4.15%の利子がつきます。米国は日本よりも高金利ですが、4.15%というのは全米平均をはるかに上回っており、米国人もビックリの数字です。

もっとも米国の場合、金融機関の体力やサービスの内容によって金利にはバラツキがあり、どこの銀行に預けてもほぼ同じ金利になる日本とは状況が違います。高金利のサービスには相応のリスクが伴いますが、アップルという超有名企業が提供しているサービスということもあり、既存の金融機関にとって脅威となるのはほぼ間違いありません。

さらに言えば、アップルの新サービスは最低残高の制限もなく、あまりお金を持っていない人でも気軽に預金できます。一般的に米国の銀行は手数料が高く、一定の残高を下回るとさらに手数料が加算されるケースがあります。手数料が安く、かつ高い金利が付与されるという今回のサービスは画期的なものと言って良いでしょう。

アップルが思い切ったサービスの提供に踏み切った背景には、米国で進む金融引き締めと、それに伴う金利の上昇があります。

米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)は、量的緩和策から脱却するため金融引き締め策に転じており、米国では金利が急上昇しています。金利が低い銀行に預けていた利用者は損をしますから、より利回りの高い商品にお金がシフトしており、一部の金融機関は資金不足に陥っていると言われます。

今年3月に米シリコンバレー銀行など複数の銀行が破綻しましたが、これも高い利回りを狙って顧客が一気に資金を引き出したことが原因です。アップルの高金利サービスをきっかけに、各行が金利引き上げ競争に走った場合、体力のない銀行の中には経営が苦しなるところが出てくるかもしれません。

 
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