人生100年時代と言われて久しいですが、60代は一つのターニングポイントです。子どもの自立、自分や配偶者の退職、親の介護、両親や配偶者との死別などで、ライフスタイルが大きく変わる年代だからです。この時期にやっておきたいのが「最後の片付け」。「生前整理」や「終活」と違うのは、それらが死を意識して行うものなのに対し、「今とこれからを豊かに過ごすためのポジティブな片づけ」だということ。
片づけ・整理収納のプロである杉之原冨士子さんの『おひとりさま最後の片づけ やるべきこと・やらなくてもいいこと』から、「プレシニア」時代にやっておきたい、人生を楽しむためのポジティブな片付けのポイントを抜粋します。

誰もが最後はおひとりさま

写真:Shutterstock

「おひとりさま」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか?
「独身の人」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

「私は結婚しているから、『おひとりさま』ではない」と思われるかもしれませんが、離婚したり、配偶者が亡くなったりすることで、おひとりさまになる可能性は十分にあります。特に平均寿命が長い女性のほうが、最後はひとりになることが多いでしょう。

 

これからの人生を楽しむための片づけ


皆さんは「プレシニア」「アクティブシニア」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。この言葉は国土交通省の資料(「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン(平成31〈2019〉年3月28日公表」)の中で用いられた言葉で、プレシニア(50~64歳)、アクティブシニア(65~74歳)と記載されています。

今50歳の方が「プレシニア」の枠に入るなんて!とショックを受けるかもしれません。

けれども、これからの片づけは高齢期に入る前に意識することと、準備することがとても重要なのです。

住まいは人が生きていくための基盤です。幸せになるための条件です。日々買い物に行き、食事をつくり、掃除をする。

普通の日常生活を送ることのできる暮らしの中で、夢や希望は生まれてきます。それは、住まいが快適な状態であるからこそできることなのです。

高齢期の住まいは安心・安全で快適な部屋であることがベースになります。そうでないと、家の中でケガをして入院したり、ゴミ屋敷化して最終的に空き家になったりという最悪のケースにつながるのです。

だからこそ「プレシニア」の段階での快適な暮らしを意識した片づけが「シニア」世代の、豊かで自分らしい暮らしにつながるのです。

シニア世代を見据えつつ、本当にやりたかったことが今こそできる、ポジティブな部屋にしていきましょう。まずは「人生を楽しむための片づけ」のポイントを6つにまとめてみました。