友達のまりえが、正確にいうと友人のマネージャーだったまりえが、気がついたら青森県十和田に移住していた。Youtubeやnoteで子供と二人の田舎移住暮らしを発信し、そしてなんと地方の魅力をぎゅっと詰めた食のセレクトショップをオンラインとリアルと同時に両方立ち上げるという快挙に出た。天晴れ!
ショップの名前は、Schuzlmither (シュツルマイザー)= 言葉にできない想いや感覚、Schuzlmithernic Life (シュツルマイザニックライフ)= 自分にしかわからない、自分にとって大切なものに囲まれる暮らし。
覚えてもらう気、全くないでしょ、これ(笑)。
ローカルこそ文化が生まれるユニークな場所だと、時間さえあればどこかに行きたい多動症気味の私は、まりえの言動が気になって気になって仕方がない。とにかく好奇心旺盛で読書家で文才のある彼女が綴る商品や作り手の話が愛に溢れていて、それでいておもしろすぎる。あ、移住してからのあれこれや想いを綴ったnoteも、会話してるようにするすると読めてオススメです。とにかくおもしろい。
知らない土地に移住して、そんな中でも良いものを探して駆けずりまわり、心が揺さぶられる物を見つけ、自身で使ってその魅力を体感し、その拝見を深掘りしている商品たちだけが並んでいます。
ラインナップは、硬さに一瞬怯むけど、噛めば噛むほど懐かしいほっこりした味わいの縄かりんとうや、青森といえばのリンゴジュース。大寒に耐えた丈夫で甘い、寒ざらし粉、丁寧にじっくり煎られた栄養満点の炒り玄米、45度で搾油された、実は食用じゃない最高級グレードのなたね油などなど。バラエティに富んでいて、青森の食パワーは恐るべしですね。
買わなくても少しでも興味を持っていただいたら、ぜひサイトを覗いて見てください。
やりとりの中で、「こういった消えゆくローカルこそが、ビジネスとしても、生物多様性も、人類の発展に全部繋がっていくと思うのです」という彼女の言葉、私も同じ思いです。
ファッション業界にいた時に、すごい技術の生地屋さんや工場がどんどん廃業に追い込まれていくのを見て、同じようなことを思っていたから。ファッションデザイナーやディレクターはデザインや世界観を生み出す側なので、自分の手を動かして物を作り出すこと、「自分でモノを作り出して生きる」という生き方に憧れがあります。縄文時代のような暮らしをしたいわけではないので、色々と矛盾もあるんですけどね。
まりえのお店は開店早々順調に広がっていっているのですが、問題点も出てきていて。というのも丁寧に手作りされたものは生産量に限りがあるということ。そして、季節感が満載だということ。大手の安定供給第一ではないローカルフードの弱点でもある。でも、そこも愛すべきポイントかもしれませんね。
様々な土地を訪れると、その地方の在来種や名産、郷土料理を知りたくなります。訪れた土地で、その土地の人たちとコミュニケーションを取りながら試行錯誤し、一緒にその土地のもので特徴ある濃い食品を作りたい。エシカル、ローカル、できるだけオーガニック。食で広がる楽しさや想いでどんどん繋がっていけたら。
あ、フライボールというかわいいお菓子をご紹介し忘れました。青森県むつ市にある1929年創業の町のケーキ屋さんがつくる、小ぶりの可愛いあんドーナツです。お夕食が天ぷらの時に祖母が丸めて作ってくれたドーナッツを思い出しました。
今回も最後までお読みいただいて、ありがとうございました。
写真・文/行方ひさこ
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