ここが合理的②色数は3色まで。普段着にジャケットをプラスするだけでONスタイルに
「すごくたくさんの服を持っているわけじゃないけど、いいものをリピートして着回しているという感じ」と大沼さんが語る、涼子のスタイル。基本、モノトーンにプラス1色という抑えた色味も、日常着を品よく見せるポイントになっています。
「白、黒、グレーにブルーやネイビーを合わせるなど、基本的に、演じる天海さんの好きな色にしてあります。アイテム選びもそうですが、色数を抑えたのは、涼子という役をより印象づけるため。変装をよくするキャラクターなので、衣装をあまり取っ替え引っ替えしていると、それだけが記憶に残ってしまうので……。『あ、今日はあれとあれを組み合わせて、こんなふうに着こなしているんだな』と、見ている方に楽しんでいただけたら」(大沼さん)
さらに注目なのは、仕事人としての涼子のスタイル。依頼人に会うときや調査で外出するときは、定番のコーディネートに〈メゾンスペシャル〉や〈ジョゼフ〉などのジャケットやジレを羽織っています。スタイルはシンプルですが、やはりベーシックカラーを選んでいることもあってか、印象はノーブル。ミニマルなONスタイル、思わず真似したくなる格好よさです。
変装シーンにもひと工夫。渾身のスタイリングがドラマを熱くする
ちなみに、ゴージャスなスーツでパーティーに潜入したり、着物でクラブのママに扮したり、ギラギラの怪しい衣装で占い師に化けたりと、各話に登場する奇抜な変装ファッションも、大沼さんが天海さんと相談しながらコーディネートしたもの。とくに食堂のおばちゃんや掃除係といった、普段の天海さんがなかなか演じない役柄に変装するときは、天海さんからの提案で、白衣やユニフォームにひと味、アクセントアイテムを加えていたといいます。
「『白衣の下に明るめのタートルを入れておくと、それっぽくなるんじゃない?』とか、『ここに花柄のスカーフ、巻いてみようか』とか。普段から人の特徴をよく観察されているんだなぁと思いましたね。すでにシリーズ化されたドラマでは、服装はキャラクターの特徴を表す役割を担いますが、今回のようにはじめて放送される作品では、そのドラマ自体を印象づけるものにもなるんだなと、勉強になりました」(大沼さん)
ドラマは回を重ね、6月5日放送の第8話では、涼子が高校時代の後輩(眞島秀和・演)と急接近? という気になる展開も。さらには、涼子と因縁を持つかつての取引先・諫間慶介(げんま・けいすけ。仲村トオル・演)も再登場し、波乱の予感が……。まだ明らかになっていない涼子の過去の事件と貴山との関係など、ますます目が離せないストーリーを追いながら、ぜひ涼子のファッションにもご注目ください。
<作品紹介>
『合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜』
殺しと傷害はしない。カタギには手を出さない。お互いに嘘はつかないーーそれが、探偵・上水流涼子と相棒・貴山伸彦(たかやま・のぶひこ。松下洸平・演)のルール。次々と持ち込まれる難事件に常識外れの方法で向き合う二人が行き着く先は……。息の合ったバディぶりに、早くもシリーズ化の期待が高まる。毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系列で放送。動画配信サービス「カンテレドーガ」と「TVer(ティーバー)」では最新話を、「フジテレビオンデマンド」と「Netflix」では最新話までの全話を配信中。
構成/高橋香奈子
- 1
- 2
PROFILE
スタイリスト 大沼こずえさん
多くの女性誌やファッションブランドのコンテンツ、広告などで活躍するほか、多くの女優からの信頼も厚く、ドラマやテレビの衣装のスタイリングも手がけている。eleven.inc 代表。
@kozueonuma.eleven.stylist