体験することにお金と時間をかけたい
——推し活のバリエーションがどんどん増えているのは知っていましたが、推しを応援したり誕生日をお祝いする広告を出稿するというのは驚きでした。推しに見てもらうことが目的ではなく、自分たちで見て完結するというものなんでしょうか?
長田麻衣さん(以下:長田):もちろん推しに届けば嬉しいし、数人でお金を出しあって出稿して、写真を撮って、みんなで推しの誕生日を祝っているということ自体が楽しいんです。渋谷だと結構よく見ますよ。グループでお金をちょっとずつ出しあうんですけど、そのファンダムもみんなが知り合いというわけでもないんです。知らない人にお金を渡すって怖いじゃないですか。でもそれが別に成立しているんです。
——SNSネイティブ世代はSNSで知り合った人と実際に会うというのもカジュアルにやっていますよね。大人からしたら大丈夫かなと心配にもなりますが、堅実さもあるからそこのリスクヘッジは結構シビアにやってますよね。
長田:リスクヘッジは結構しっかりやってますね。このやり取りが変じゃないか、過去の投稿はどういうものがあるかをめっちゃ確認しますし、リテラシー高いからしっかりしているんです。
——物自体ではなく、「体験」にお金と時間をかける「体験消費」が若者の消費行動で重視されていると聞きました。“体験消費”とはどのようなものなのでしょうか。
長田:体験して、それをSNSであげることがセットなんです。それをきっかけにSNS上で一緒に行ってない子たちともコミュニケーションを取ったりとか、こういう生活してるんだっていうのを共有したり。その体験の共有が大事なんです。あとはしたい体験に合わせて消費をするというのも特徴です。例えば、いつもはめっちゃガーリーな格好してるけど、夏フェスに行くんだったらちょっとスポーティーな方がいいから、友達とスポーティーな格好の服を買ってわざわざ写真を撮るという風に。こういう写真を撮りたいっていうのが前提にあるので、そこに必要な要素になるものを買って、写真を撮る。体験と自分のファッションがマッチしている感じが一番映えるし、コミュニケーションに繋がるので、体験から逆算して、消費をするという動きが活発になっています。
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