ジェンダーギャップ指数125位の日本で、一見平等にみえる「教育」に注目。日常に潜む“男らしさ、女らしさ”の刷り込みを自覚するために_img0
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2023年6月20日に世界経済フォーラムによる「ジェンダーギャップ指数」が公表され、日本は世界146カ国中125位と、前年から9つランクを下げました。残念ながら、他国の取り組みが進むことで日本の順位が下がる傾向は今年はじまったことではなく、もはや驚くことではなくなってしまいました。

 

日本の順位の低さは「政治」「経済」が主因ではあるものの、実は今回から高等教育の指標が入ったために、前回1位だった「教育」の順位も47位にまで下がっています。高等教育については、欧米先進国では大学進学率が女性の方が高いという国が多くなっているのに対し、日本はまだ女性の方が少なく、とりわけ難関大学や理工系領域、そして大学院ではその傾向が顕著です。

また、文部科学省の「学校教員統計調査(平成28年度)」によれば、教員の男女比は幼稚園や幼保連携型認定こども園では女性が9割以上と圧倒的に多く、小学校でも女性教員が6割であるのに対し、中学校4割強、高校3割強、大学2割強……と教育段階が後期になるにつれ、女性教員の数は減っていきます。校長などの管理職は、どの学校段階でも男性が着任するケースが大半……などの偏りがあります。

「息子には大学に行ってほしいが、娘にはそこまで求めない」という親もいます。特に収入の低い世帯で、親が娘よりも息子に投資する傾向があることが確認されています(※1)。

背景には、大学を卒業しても結婚や出産をしたら仕事が継続しにくいのではないか、であれば教育投資する意味はあるのだろうかという懸念があります。男女の賃金格差や働き方に課題のある労働市場が変わらなくては、親たちの偏見とも言い切れないかもしれません。

しかし、このような親や周囲の声がけによって、女の子達自身も、進学を目指さなくなっている可能性があります。つまり、これまで「政治」や「経済」に比べてジェンダーギャップの面で問題がないとみられてきた「教育」についても、課題はまだあるということです。