差別に敏感、多様性をすでに受け入れている若者たち
——不景気がデフォルトで不確実性に満ちた時代を生きていて、すごく慎重に進路を決めたり、安定を求める傾向があるそうですね。
長田:就活生にインタビューをする機会もあるのですが、5年後とか10年後にどうなっていたい? と聞いたら、「そんなの考えても意味なくないですか」と言われたことがあります。だって数年後どうなっているかなんてわからないし、自分の気持ちもどう変わるかわかんないから、考えるだけ無駄なんだと言うんです。でも決して将来を考えていないわけではなく、1年先さえ見通せない時代だから、状況が大きく変わる可能性があることを前提に仕事を探したりする。何があっても大丈夫なように、リスクヘッジのために本業と副業を考えたりしています。生き方にすごく慎重になるというのは不景気や不況が影響しているなと思います。
——生まれた時から震災やコロナなど、数年単位で社会の状況が一変して、今までの常識が様変わりしてしまうような不確実な時代に生まれているから、そうならざるを得ないのかも知れませんね。
長田:適応していくしかないし、悲観している意味がないと達観している感じはあります。
——今の若者の特徴としてすごくいいなと思ったのが、LGBTに対して偏見がないということです。LGBTもそうなんですけど、韓国に関してとてもフラットだなと感じます。上の世代だと嫌韓の人も多いですよね。今の若者は上の世代の持っているネガティブな感情と全く関係なく、ナチュラルに文化として触れていて、すごく心強く感じます。
長田:一応日韓関係が悪いとか、いろいろな課題があるっていうのは、学校で習うし知識はあります。でも、それはそれ、これはこれと割り切っている。韓国に対してネガティブな話は全然聞かないですね。
——そういう様子を見ると、これから特定の属性に対する偏見が徐々になくなってくのかなという希望が持てますね。
長田:いろんな価値観に触れながら生きてきているので、こうあるべきみたいな決めつけがないんです。一つの課題に対して、いろんな視点や考えがあることを把握することをすごく大事にしている。誰かを傷つけたり差別すること、一つの考えが違うから排除するみたいなことは、そもそも思考にないっていう感じですね。
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