「具合が悪くなってから病院」ではなく、早めに生活の見直しを!

「家族」との人間関係が更年期うつを引き起こす。多くの役割を求められる更年期の乗り越え方【高尾美穂先生】_img0
 

更年期のメンタル不調の原因をお話してくれた高尾先生。その解決策として、睡眠時間の不足が関係しているのでは? と見解を話してくださいました。

 

メンタル不調を増長する一因としては、睡眠時間の短さが考えられています。

人間関係は相手があることなので自分の力だけで変えることはできません。だから、心の健康を守るために自分で選べることを、自分で考えて選ぶしかない。

厚生労働省のアンケートによると、日本人が健康診断を受けない理由の最も多い回答は『病気になっても病院にいけば治してもらえるから』という理由なんです。根本的な話ですが、生活習慣を変えることで自分の体調やメンタルの状態を良くできるかも、というアイデアが生まれないことが問題です。

『仕事が忙しいから仕方がない』と、コンビニのご飯を食べて、睡眠時間は6時間以下。そんな生活をしていて、体調が良くなるわけがないんです。そう考えると、将来の自分のために今自分の力で変えられるのは、どれだけ寝るか、何を食べるか、どれだけ運動するか、どんな働き方をするか、誰とどのくらい付き合っていくか、くらいです。自分の理想を描いて、そこに向けてライフシフトしていかないと人は変わりません」

高尾先生は婦人科医として忙しく働きながらも、自分の心地よい生活を求めてライフスタイルを変えていったと言います。

「私も30代後半までは、当直をやりながら翌日も外来を担当したり、オペをこなしていましたが、なんとかやりこなせていました。でも、年齢を重ねることで、昼間のパフォーマンスが落ちていくことを感じて、働き方をシフトしていきました。自分が健やかに暮らすにはどうしたらいいのか、それぞれがもっとしっかり向き合うべきだと思います」

身体に対する不調のほとんどは、自分の生活習慣を見直すことに集約されるのかもしれません。そのことを念頭に入れて、今の生活から見直すことが大事だと思います。
 

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高尾 美穂(Miho Takao)
イーク表参道副院長。産婦人科医。医学博士。婦人科スポーツドクター。ヨガ指導者。働く女性の産業医。婦人科の診療を通して女性の健康をサポートし、 女性のライフステージ・ライフスタイルに合った治療法を提示し、選択をサポートする。アプリstand.fmで毎日更新される番組『高尾美穂からのリアルボイス』では、体や心の悩みから人生相談までリスナーの多様な悩みに回答。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社)、『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)、『更年期に効く 美女ヂカラ』(リベラル社)などがある。


イラスト/Shutterstock
取材・文/千葉泰江
構成/宮島麻衣
 

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