こんにちは、エディターの昼田です。
この原稿を書いている金曜日。あさイチに出演されていたのは私の大好きな稲垣えみ子さんでした。
彼女の発言の中で
『「ある」か「ない」かだとしたら、多くの人は「ある」を選ぶけれど、「ない」なかに楽しさがある』
『「ない」なかに楽しみを見出せる自分に改造したんです』
うん、うん、そうですよね! 稲垣先生のような持たない暮らしにはほど遠いけれど、私もまったくもって同感です。ないと困る。ないと寂しい人生になると予想していたけれど、まったくそんなことなかった! むしろおしゃれの楽しみを見出し、おしゃれの腕があがり、ありがたいことに私の格好を褒めてくれる人まで現れて。
「ない」は悲しいことでも、人生をつまらなくすることでもない。
むしろ「ある」の方が退屈だったことを思い出しました。
その昔、私が住んでいたのは「住みたい街ランキング」に入るような、ファミリー層に人気のエリアでした。しかも駅前に住んでいた私たちは、商業施設やデパート、病院まで徒歩5分以内にすべてがそろう環境にいました。
この街の住みやすさを誰よりも享受していたはずなのに、あるときふと思ったんです。
つまんないなぁ……。
なんでも揃う。まるで私は王様でなんでも用意してくれる執事がいて、欲しいものはすぐに手に入るけれど、次第に感情が薄れてくるのが分かりました。
ところが山形に移住して、分かってはいたけれど何もかもが「ない」でした。デパートも大型の商業施設もない。「東京」を基準にしたならば「ない」ものがほとんど。
移住してすぐの頃、地元の不動産屋で、「山形って何にもないですね。退屈じゃないですか?」と言ったら、こう返ってきました。
「物足りなくて、ちょうどいいんだよ」。
そういうものかしら。失礼ながら、山形って刺激を求めない人たちが多いんだな、と思ったりして。
私たちは「ない街」に住んでいるからこそ、気がつけば「ある」を探しに行っていました。
そして「ある」に出会うと、いちいち感動した。
ベランダから見る山々がきれい!
今日も空が美しくて、夕焼けも見惚れるほどだな。
雪ってこんなに白くて、暗闇を照らしてくれるのか。
さくらんぼってこんなにおいしいんだ。
決してスペシャルな体験ではなく、日々のこと。ワクワクや幸せは、至る所に転がっているのだと思えるようになっていました。
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