眉や髪型…自分の身体に関しては自分に決定権があると思ってきた
——ひとつのイメージに固執せず、柔軟に自分を更新していくスタンスはヘアメイクにも現れていたと思います。ソロデビュー当時からビジュアルに関する“工藤静香らしさ”はセルフプロデュースしていたのでしょうか?
工藤:若い頃から好奇心旺盛で、背伸びしたい気持ちもあったので、いろんな髪型に挑戦していました。スプレーでトサカみたいな前髪を作ったのも、自分の意思です。急に金髪にしたり、眉毛のカタチも変えたりしちゃうし。『嵐の素顔』(1989年5月)は凄い太眉だったのに、『黄砂に吹かれて』(1989年9月)の頃には勝手にいきなり細眉にしたり。事務所の大人たちが大騒ぎしていた記憶があります。「なにしてんのー!」って言われましたね(笑)。
——そんな自由奔放な行動が許されるのは、他の部分でやるべきことをやって信頼を得ていたからなんでしょうか。
工藤:私の中では、自分の身体に関しては自分に決定権があると思っていて。反対に、誰かと一緒に仕事をするときは、行動を起こす前に入念に了解を得るようにしていました。ルックス以外は破天荒を目指すのではなく、お世話になっている方々の意向を聞きながら律儀に仕事をこなすタイプだったんです。それが『Blue Rose』を分岐点にして、音楽においても自分の想いを実現できるようになってきて、少しずつ表現の範囲を広げていった感覚です。
——ちなみに、今でも髪型は誰にも相談せず、その時々の気分で変えるんですか?
工藤:そうですね。自分で切って自分で染めることが多いです。
——えっ!? カラーもですか? そこまでセルフだったんですか?
工藤:ロングからショートに変えるくらいの大胆なカットは美容室でお願いしますが、ちょっと切ったり染めたりするのは自分でやった方が手っ取り早いじゃないじゃないですか。思い立ったらすぐに実行したいので、海外や地方に行く際には必ずスーツケースにヘアカット用のハサミを入れています。小学生の頃に母親のホームパーマ液でセルフパーマをしてから、自分の手で自分をクリエイトすることが好きなんです。そこはずっと変わらないです。
——ビジュアルにおいても音楽においても、イメージを変えると必ず賛否両論が寄せられると思います。ネガティブな声は気にならないですか?
工藤:例えば眉毛をへの字にしたときも、「気が強そうに見える」とか「前のほうがよかった」とか、いろんな意見をいただきました。そういったネガティブな意見も含めて、ファンの方々の反響を目にするのは楽しかったです。気が強そうな印象はそのときの楽曲に合っているから、イメージチェンジが正解だったと解釈することもできますし。
——自分で決めた道であれば、「恐れずに突き進む」ことができたんですね。『勇者の旗』は、そんな工藤さんだからこそ届けられる音楽と言葉のお守りなのかもしれません。
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お問い合わせ先/
クリスチャン ディオール tel. 0120-02-1947
撮影/田上浩一
スタイリスト/岸本怜子
ヘア&メイク/菊地美香子
取材・文/浅原聡
構成/坂口彩
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