⑤ 結果・感想
最後にこの実験をやってみて、分かったことを書きます。低学年なら「レモン汁を入れると、焼きそばの色が変わった」でOKです。そして、その後に「ピンク色の焼きそばがきれいだった」など自分の感想を書きます。高学年で「溶液の性質」について理解できているのなら、「レモン汁は酸性なのでピンク色に変わった」など一歩踏み込んだ結果を書くことができるでしょう。

高学年になったら、押さえておくべき5つの項目に、さらに「仮説」を加えるとより魅力的な自由研究になります。「仮説」は実験の結果を予想するものです。仮説を立てておくと、実験をしながら、こうなるに違いないと意識しながら進めていくことができます。それが合っていた時には「◯◯だから、そうなんだな」と理解を深めることができますし、違っていたときは、大きな驚きとともに「なぜそうなったんだろう?」と考えます。つまり、物事を考える出発点になります。

自ら学ぶ「自走できる子」を育む、夏休みの過ごし方は?中学受験にも役立つ「自由研究」のすすめ<br />_img0
 

研究者が実験を行う際には、常に「仮説」→「検証」→「考察」の順番で進めていきます。これは物事を考える手順と同じです。自由研究のまとめは、こうした思考のサイクルを身に付けるのに最適なのです。低学年でもこういうやり方で実験を進めていきたいという子にはどんどんやらせてみましょう。

この思考サイクルはあらゆる場面で生かされます。例えば、テストを受けるときに、ただ受けて、結果を見て終わりでは意味がありません。自分がこうだと思って書いた答えが間違えていたとき、「なぜ間違えたのか」「どうすれば正しい答えを出すことができたのか」「他にやり方はなかったのか」と考えることができれば、それは次に生かされます。

 

●著者プロフィール
西村則康(にしむら・のりやす)さん

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表。40年以上にわたって難関中学への受験指導を行う現役のカリスマ家庭教師。開成中、麻布中、桜蔭中、女子学院中、灘中などの最難関校に2500人以上を合格させてきた実績を持つ。日本初の「塾ソムリエ」としても活躍し、主任相談員を務める中学受験情報サイト「かしこい塾の使い方」は16万人以上の親御さんが参考にしている。『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! 第5版』(小川大介氏との共著・日経BP)など著書多数。小3入塾テスト対策のための『中学受験 入塾テストで上位クラスに入るスタートダッシュ 算数国語』(ともに青春出版社)も好評。


辻󠄀 義夫(つじ・よしお)さん
理数教育家、中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。大手進学塾での指導経験を経て、現在は中学受験専門のプロ家庭教師集団「名門指導会」副代表を務める。「わくわく系中学受験」と称される指導法、勉強法は「楽しく学べて理科系科目が知らない間に好きになってしまう」と好評。「カレーライスの法則」「ステッカー法」など子どもが直感的に理解できてふに落ちる解法を編み出す名人でもある。著書に『中学受験 見るだけでわかる理科のツボ』(青春出版社)などのほか、近著に『理系が得意になる子の育て方』(ウエッジ)『中学受験の成功は、幼児期・低学年がカギ!「自走できる子」の育て方』(ともに西村則康氏との共著・日経BP)がある。

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『中学受験の成功は幼児期・低学年がカギ!「自走できる子」の育て方』
著者:西村則康、辻義夫 日経BP 1870円(税込)

「学力の土台作り」から考える、逆算式・絶対合格のロードマップ! 中学受験でぐんぐん伸びていく子と伸び悩む子の一番の違いは、幼児期・低学年の過ごし方にある、と教えるのは、難関中学の受験指導を行う、プロ家庭教師の著者。勉強が楽しい!と思える、「自走できる子」を育むためのアイデアを詳細に紹介します。「子どもと大人の本は一緒に並べておく」「キッチンは学びの宝庫 お手伝いで賢くなる」「算数はお絵描きと落書きで伸びていく」「折り紙で図形の感覚を身に付ける」など、今日からできる具体的なメソッドがもりだくさんです!



写真:Shutterstock
構成/金澤英恵

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