さらに想像しにくい分野としては男性用化粧品でしょうか。女性の場合、冬でも夏でも身だしなみには気を使う人が多いですから、どの季節でも化粧品は売れるのですが、男性は汗をかく時期に入って、急に身だしなみに気をつける人が増えるため、男性用化粧品は夏に売れやすいのです。

このように、暑い夏は景気にとってプラス面が多く、経験則的にも夏の気温が高い年はGDP成長率が高めに出ることが知られています。

では気温が高ければ高いほど景気にプラスなのかというと、必ずしもそういうわけではありません。気温が上がりすぎてしまうと、逆に人々の行動を制限してしまいますから、マイナスの影響が大きくなってきます。

夏に胃腸薬やカイロが売れるのはナゼ?「暑さ」と「景気」の奇妙な関係とは_img0
写真:Shutterstock

暑さも一定の水準を超え、いわゆる猛暑というレベルになると、イベント会場の入場者数や小売店の来客数は伸び悩みます。先ほどアイスクリームについて触れましたが、アイスクリームも夏だからといっていつまでも売れ続けるわけではありません。気温が34℃あるいは35℃を超えてくると、かき氷を食べたいと考える人が増え、アイスクリームの消費は急激に減っていきます。

 

夏にどのようなものが売れやすいのかという知識は、その分野でビジネスをしている人以外には関係ないように思えますが、そうでもありません。

例えば夏でも使い捨てカイロや保温下着が売れるということが分かっていれば、冷え性になる前に準備することで慌てずに済みます。胃腸薬についても同様で、早い段階からお腹を冷やさないよう工夫しておくことで、夏バテを上手く回避できるかもしれません。

今年は新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行してから初めての夏ですし、多くの人が旅行の計画を立てていると思います。私たちがお金を使えば使うほど、景気は良くなり最終的には私たちの賃金にも反映されますから、今年の夏はちょっと奮発してもよいのではないでしょうか。夏バテせずにうまく乗り切り、暑い季節を楽しみましょう。

夏に胃腸薬やカイロが売れるのはナゼ?「暑さ」と「景気」の奇妙な関係とは_img1
 

前回記事「男女平等ランキング125位の結果から分かる、「男女格差」と「貧困化」の悲しい関係」はこちら>>

 
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