夫婦の不思議


「もちろん、次は彼の番。縁あって夫婦になったんですから、私ができる限りで夫の心を救いたいと思うようになりました。息子を結果的に傷つけて、一番後悔しているのは夫なんです」

現在、響子さんと息子さんはご自宅に戻り、3人での暮らしを再開したそう。はじめは後ろめたい気持ちから、息子さんにうまく言葉をかけられなかったという英太さん。しかし意外にも息子さんのほうからあれこれと話しかけ、数カ月で良いコミュニケーションがとれるようになったそうです。

「言ってはいけないことをたくさん口にしあって、もう家族はもとに戻れないかもしれないと覚悟していました。でも、それも受け入れて赦して、前に進んでいくことができるのもまた家族の強さ。今、私たち夫婦は一歩ずつ再生中です」

家族だからこそ、見たくない部分が見えてしまうこともあります。しかし、そんなときは適切な距離を取り、ときには「逃げる」ことも有効。そして冷静さを取り戻してから、また再構築する方法があるのだと、響子さんは伝えています。ぜひ、悩んだときに思い出したいと思う取材でした。

英太さん、響子さん、息子さんのこの大きな深い傷を修復し、3人の絆が強固になることを心から祈っています。

 
写真/Shutterstock
取材・文/佐野倫子
構成/山本理沙
 

 

「怖くて、池の周りを4時間歩いた」中学受験直前、トップ独走だった息子の叫び。妻が聞いた、夫の残酷な言葉とは?_img0
 

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