コンビニで年齢確認をお願いされたマダムが、最初はつっけんどんな態度をとっていたのに、未成年として対応されるうちに、徐々に少女の面持ちに……。そんな「年齢確認」の動画がバズり、その巧みで繊細な演技とインパクトのある愛らしいキャラクターが大きな話題となった俳優の赤間麻里子さん。現在５４歳の赤間さんは、演劇界の東大ともいわれる無名塾のご出身。最近では連続テレビ小説『虎に翼』や『アンメット ある脳外科医の日記』（カンテレ・フジテレビ系）、『海に眠るダイヤモンド』（ＴＢＳ）など話題作に出演する赤間さんですが、ここに至るまでには悲喜こもごも、長い道のりがありました。
赤間麻里子
無名塾出身。こねこフィルムでの「年齢確認」の動画が大きな話題に。映画『わが母の記』、連続テレビ小説『虎に翼』、『アンメット ある脳外科医の日記』（カンテレ・フジテレビ系）など話題作に数多く出演。
頭からゴキブリが羽ばたく
ーー無名塾時代、稽古場の上の２畳あるかないかのお部屋に住んでいたそうですね。頭からゴキブリが羽ばたいたことがあったとか。
赤間麻里子さん（以下、赤間）：寝ている時に痒いなと思って、なんだろうと思って電気をつけたら、髪からゴキブリが出てきました。あれはなかなかない体験でしたね（笑）。
ーー窓がすごく小さくて熱がこもる部屋で、夜中に脱水症状で起きることもあったそうですね。
赤間：本当に暑くて、ペットボトルを冷凍して持って上がって、枕にして寝て、脱水症状になったらそれを飲んでいました。自分でもすごくいいアイディアだなと思いましたね。
ーーすごい生活ですが、それでも苦にはならなかったですか。
赤間：若かったので、楽しかったですね。４時に起きて誰よりも先に稽古場に行ったら（無名塾主宰の）仲代（達矢）さんに最初に稽古を見てもらえる。日々争奪戦でした。みんなは始発で来ますが、私は下に降りるだけですから、誰よりも早く稽古場に行けるんです。それなのにいちばん乗りでないのは恥ずかしいから、とにかく早く目を覚まして、朝一番に稽古場に行くことに命をかけていた３年間でしたね。
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