頑張ったあと、体が動かなくなる
白川:通常はよーいドンッて走り出したとしたら、交感神経系が高くなるのと同時に、リラックスする副交感神経は息を潜めてくれます。緊張の神経とリラックスの神経の活性化が交差するような互恵的な反応がおきます。普通に育っていたらそうなんです。ところが、トラウマ体験があるとそれが変わってしまうんです。子どもの頃に親が言い争っていたら、ママを助けたいと思っても、怖くて助けに行けないですよね。でも逃げたらママがめちゃくちゃになっちゃうかもしれない。そうすると身体が固まってしまうんです。固まるっていうのは決して悪いことだけではなくて、温存生理といって、自分のエネルギーを取っておくために、省エネしようという体になるんです。そもそもサイドブレーキを踏んでいるような身体になってしまっているのです。力を出そうとすると、よーいドンッてアクセルを踏み込んだ状態になるのと同時に、緊張したら交感神経が高まってバクバクすることをニューロセプションが自動的に危険だと判断して、もっとサイドブレーキを引いて、温存モードに戻そうとします。力をいれなきゃいけない場面、例えば出社しなきゃと思うと、身体は頑張ってアクセルを全開にするのと同時に無意識にもっとサイドブレーキを引いてしまうんです。サイドブレーキを強く引きながら同時にアクセルを強く踏んでいる状態でやっと頑張れている。ところがサイドブレーキの力の方が勝ってしまうと一気に元気がなくなって、ズドンって落ちてしまうんです。例えば頑張って取材をして、土日は寝っぱなしとか、そういうことがありませんか。
――ありますね。人と会ってすごく神経を使って覚醒した状態になって、バツッと糸が切れると動けなくなったりすることはよくあります。
白川:頑張った後動けなくなった時には鬱になって感情も出てこないし、無気力だったり、すぐ忘れちゃったり、慢性疲労のような状態になるんです。全身の調整機能が高いか低いか極端になります。喘息できゅーって呼吸筋が緊張してしまうとかもそうです。免疫システムも高くなりすぎれば自己免疫疾患に、低くなれば感染しやすくなります。偏頭痛は脳の血流が関係していますよね。交感神経が緊張していると血流が抑えられています。何かのきっかけで、急に緩むと血管も緩んで急にガーッと血流が多くなって、そのときに痛みが起きるんです。ちょっと緊張したり、ちょっとリラックスしたりするだけでバランスが変わって起きることもあります。小さなことが引き金になるんです。
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