政府によるガソリン代の補助や、電気代・ガス代の補助など、物価高に対する各種支援策が10月で終了する見通しとなっていることから、岸田政権は制度の延長など支援継続の検討に入りました。追加対策が決定されないと家計には大ピンチとなりそうです。

8月22日、官邸で囲み取材を受ける岸田文雄首相。写真:代表撮影/ロイター/アフロ

政府は2023年1月から電気代やガス代に対する補助を行ってきましたが、この補助は9月で半額となり、10月には終了予定となっています。

東京電力の標準世帯では、政府の補助が行われて以降、1カ月あたり1800円ほど電気代が安くなっていました。たとえば2023年の8月には、標準世帯では約7000円の電気代だったはずですが、この措置がなければ電気代は約8800円になっていた計算です(※)。このところ猛暑で電気を多く使っているにもかかわらず、電気代がそれほど上がっていないと感じていた人も多いと思いますが、それは政府の補助が効いていたからです。

 

もっとも東京電力の標準世帯は古い時代を基準としており、今の家庭は電気をより多く消費しています。子どもがいる世帯では、1ヶ月あたり2800円程度の負担軽減が行われていたと考えてよいでしょう。

しかし9月使用分からは政府による補助が半額となり、家計の負担は1400円ほど増え、10月以降については補助自体が終了する予定です。何らかの決断を政府が行わない限り、電気代がそのまま請求されますから、家計にとっては大ピンチとなります。

車の所有者にとっては死活問題ともいえるガソリン価格についても同様です。

政府は電気代の補助よりも1年早く、2022年1月からガソリン代の補助を行ってきました。この補助は1リットルあたり170円を目安に、この金額を超えた分について補助を行い、ガソリン価格が170円を大きく超えないようにするというものです。

もしこの補助がなければ、一時はガソリン価格が1リットルあたり215円になっていたことを考えると、かなりの金額だったことが分かります。

このガソリン代補助についても、6月から段階的に縮小が行われており、それに伴って足元でガソリン価格が急上昇しています。8月には全国のレギュラーガソリンの平均販売価格が180円を突破しましたが、補助が完全に終了する9月末には190円台に突入する可能性が濃厚です。

もし政府が支援の追加を決断しない場合、電気代やガス代、ガソリン代はどのように推移するのでしょうか。

 
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