誰かが犠牲になるサービスなんざ、「サービス」ではない
「送料無料」という四文字が、物流・運送業界、さらにトラックドライバーたちにどんな弊害をもたらすのか。当然ながら、商品の配送に「お金がかからない」意識を根付かせてしまえば、「運び手が軽視される」状況が生まれかねません。
そして、橋本さんが強く懸念を抱いているのは、「送料無料」を発信しているのは誰なのか? という点です。
一番腹が立つのは、この「送料無料」と言っているのが、商品を売っている側であることだ。ECサイトで「送料無料」としているのは、「運ぶ側」じゃないのだ。自分の業界が自分の仕事を「無料」と言うのも腹が立つのに、なんでよりによってよその業界から勝手に「無料でいい」とかされないとあかんのか。
その「無料」とされる彼ら運送のトラックドライバーたちが、充分給料をもらえていて、労働環境がいいのなら1000歩譲って理解しようとも考えるが、現状、彼らの労働環境はお世辞にもいいとは言えない。
「すべてはお客様のために」的風潮がすぎる日本だが、いいかい各位、誰かが犠牲になるサービスなんざ、「サービス」ではないのだ。
――『やさぐれトラックドライバーの一本道迷路 現場知らずのルールに振り回され今日も荷物を運びます』より
「誰かが犠牲になるサービスなんざ、『サービス』ではない」。
送料無料のECサイトを頻繁に利用している身として、この言葉に思わず目を見開きました。いや本当に、その通りのはずなのに、なぜ「送料無料」に対してはそうした考えに至らなかったのか。「別途送料」と記載されたECサイトを避け、同じ商品でも「送料無料」を謳うサイトで商品を購入する。それって、自分の仕事に置き換えてみると、とても理不尽な仕打ちではないか? と改めて自覚したのです。
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