前回お伝えしたように、ヘアドネーション専門のNPO団体・JHD&Cさんの使命感を持った献身的で大掛かりな取り組みを目の当たりにしたら、ヘアドネーション自体が「自己満足」だとは、とてもじゃないですが言えません。それに、手軽に手に入る子どものための医療用ウィッグが少ないなかで、実際にこの取り組みで助かっている方々もたくさんいらっしゃいます。それでも、私個人のレベルで見たら、動機も、寄付した長さも、やっぱり自己満足だったなって思うんです。
第1回「【ヘアドネーション体験記】人生最長に伸ばした髪を人生最短にカット。リップラインボブに!」>>
第2回「ヘアドネーションの髪の長さや条件は?美容院でカットしてから寄附したあとを追ってみました【ヘアドネーション体験記】」>>
私のヘアドネーションは
とても自分本位なものでした
【動機について】
ドネーションのために髪を伸ばし始めた3年半ほど前は、コロナ禍で世の中が大変なときでした。私の仕事は読者のみなさんへ美容情報を伝えること。美容は時に疲れた心を癒やし、自信を与え、多くの人を助けると信じて、この仕事をしています。それでも当時、コロナ禍で何もできない自分の無力さを感じていました。不安がある方々が世の中にはたくさんいるのに、素知らぬ顔で自分を美しく見せるための美容情報を発信することに、少なからず違和感や罪悪感みたいなものを感じたのです。そこで「美容で分かりやすく、人の役に立てることをしたい」と思ったのが、ヘアドネーションを始めたきっかけです。
【髪の長さ】
私は結局31cmの長さの髪を寄付しました。JHD&Cの方にも一番求められているのは50cmとうかがっていましたし、「せめてあと10cmあれば、もっと多くの人の希望に添えるかもしれない」と思いつつも、別の仕事の予定もあり、どうしてもあと10cm伸ばすということが現実的ではないと判断したのです。
どちらもめちゃくちゃ自分基準。それに、40〜50cm寄付するために髪を伸ばすって、大人でも腰くらいまで伸ばすことになり、かなり大変。それに比べれば、自分はとっても甘かったなぁと思いますし、ましてやそんな自分が、ヘアドネーションについて語っていいのかなぁという思いは、いまでもあります。
それでも、少しでも誰かの役に立つ可能性があるのであれば、やっぱりやらないよりは、できる範囲でもやってみてよかったんじゃないかと。「やらない善より、やる偽善」です。ただし、重要なのは「いいことをした!」で終わらないことではないでしょうか。
本当はもっと役立つ術があることを知って次回のチャンスに生かし、「髪があることが幸せだ」という価値観を抜け出して、髪がなくてもあってもみんなが気持ちよく過ごせる社会を目指すことを止めないこと。あとは、自分が「辛い」と思いながらやるんじゃなくて、楽しみながらやることもポイントかなと思います。苦しみながらやられたって、受け取る側は喜べないですから。
私自身、実際にやってみて楽しかったことも、逆に大変だったこともありました。次のページでは、実体験で感じたことをまとめてみようと思います。
※なお、この原稿をJHD&Cさんにご確認いただいた際、「そもそも『せっかく髪を切るなら、捨てるくらいなら、誰かの役に立てばいいな』という軽い気持ちで十分なんですよ」という優しい言葉をいただきました。私が小難しく書くことによってヘアドネーションのハードルが上がることは不本意なので、ここにつけ加えておきますね。
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