前回は、伸ばした髪をドネーション用にカットして郵送するまでの流れをお伝えしました。では、寄付したあとの髪は、その後どうなるのでしょうか? この疑問を解消すべく、日本で初めてヘアドネーション専門のNPO法人を立ち上げられ、日本のヘアドネーションのムーブメントを牽引してこられた「Japan Hair Donation & Charity」(以下、JHD&C)の広報・今西由利子さんに聞いてみました。
第1回「【ヘアドネーション体験記】人生最長に伸ばした髪を人生最短にカット。リップラインボブに!」>>
届いた髪は、JHD&Cの管理のもと、
中国→日本→タイ→日本→子どもたちへ
全国から集められた髪の毛は、カラーやパーマを施したもの、ブリーチしたもの、白髪、クセ毛など、様々な状態のものが混ざっているため、届いた状態のままウィッグに使うことはありません。
「まず、JHD&C(通称ジャーダック)の事務局で長さ別に仕分けしたのち、状態が異なる髪をひとつのウィッグとして使えるようにするため、中国の提携工場でトリートメント処理を行います。そこでは、最初に髪表面のキューティクルの層を落として、質感を統一し、髪を扱いやすくします。
キューティクルを落とすのは、髪の毛をウィッグのベースとなるメッシュ生地に折り返して植えるため、上下どちらの向きでも使えるようにするという意味合いもあります(キューティクルはウロコ状で、同じ方向についています)。ちなみに31cmの髪の毛を寄付いただいた場合、折り返して植えるという理由でウィッグに使用できるのは15cm程度になり、ショートヘア用となります」(今西さん)
※トリートメント処理の詳細はこちらをご覧ください。
その後、さらに染毛して色の統一も行うそう。こちらがトリートメント処理で美しくよみがえった最終形の髪の毛。とっても綺麗ですよね!
そして、この髪の毛は一旦JHD&Cに戻されます。
「中国で整えられた髪の毛を事務局で保管をしながら、レシピエント(ウィッグを受け取る人)の数や希望内容に合わせて、ウィッグにする分だけを、私たちの活動に賛同してくださっているアデランスさんのタイ工場へ送付し、医療用ウィッグにしてもらいます。その後はJHD&C事務局に返送してもらい、こちらで検品ののちレシピエントのもとへ発送します」(今西さん)
※ウィッグ製作の詳細はこちらをご覧ください。
こちらが出来上がったウィッグ(ロング用)です。さすが人毛だけあり、とっても自然!
このように私たちが寄付した髪の毛は、長い長い旅を経てレシピエントのもとへ渡っていくんですね!
JHD&Cさんではこのウィッグを、18歳以下の希望する子どもたちに無償提供しており(現在は申し込み過多のため一時休止中)、順番が回ってきた子どもたち一人ひとりに合ったサイズ、希望の長さを取りまとめ、それをもとにアデランスさんで製作してもらっているのです。これを年間約150人分行っているというんだから、本当に頭が下がります……!
でも……。私の疑問はこれで全て解決したわけではありませんでした。まだまだ気になることがいっぱいです。
そこで次のページからは、他にも色々と質問をしてお答えいただいた内容について詳しくご紹介していきます。
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