なぜ変化が生まれたのか?


海外ではコロナ禍前後でオフィスファッションにあまり変化がなかったという声も多くありましたが、では一方でなぜ日本では変化があったのでしょうか? この問いかけに、〔ミモレ編集室〕メンバーたちも考えました。

本音その1 「身なりをきちんと整えて満員電車で通勤するのが当たり前でしたが、コロナ禍の在宅勤務を経て、自分は何と大変なことを毎日してきたのだろうと気づきました。いい意味で服装やメイクの力が抜けました」
元々諸外国に比べて日本人は全方位的に気を配ったおしゃれをして通勤していた分、コロナ禍の巣ごもり生活とのギャップが大きかったのかもしれません。「なんであんなに頑張っていたんだろう?」と我に返ったような思いを私も味わいました。

本音その2 「3年の間に加齢も進み、自分が心地よくいるために必要なものを考えるようになり、服装の小さな我慢や不快もやめようと思いました」
特にミドルエイジの私たちにとって、コロナ禍で3歳年を重ねたという事実は大きいもの。職場においても、自分自身が快適で過ごせる装いをするというご自愛モードからくるニューノーマル、これに共感する人は多いのではないでしょうか。

 

「ニューノーマル=カジュアル化」ではない?


それでは心地よさ、ご自愛とは具体的にはどういうことを言うのでしょうか。「服装の小さな我慢や不快」もきっと人それぞれ。今回はさらに本音を深掘りしてみました。

本音その1 「人に会わないのを良いことに好きなワンピースやブラウスにスカート、サンダルにネイルと自由なファッションを楽しんでいます」
人目を気にせずここぞとばかりにおしゃれを楽しむ、そんな選択も心地よさの一つです。スニーカーを履く人は増えたけれども、「心地よさ」はスニーカーを履くことだけではない。ファッションはコロナ禍でカジュアル化したというよりも、多様化したというのが正確なところかもしれません。

本音その2 「クリニック勤務ですが最近は髪色も色々でネイルをしてる若い子も。人手不足のため求人情報にネイル・ヘアカラーOKと書いてあるんですよ」
一般企業でも若い人を中心に髪型においてインナーカラー、ブリーチ率が上がったとの声がありました。そこまで自由でなくとも、改訂した服装規定は職場の魅力度を引き上げそうです。

 


おしゃれや人からの見られ方に気を配りすぎていた日本人女性がコロナ禍を経て、自分を大切にするファッションへの移行が加速した流れが見えてきました。楽な服を着る、カジュアルな服を着るだけがご自愛ではなく、好きな服を着る、好きな髪色にするのもまたご自愛。そしてそれを許容できる環境が「働きやすさ」の一つとして人材獲得の鍵にもなるのではないでしょうか。日本においてアフターコロナに起きた変化は、働くファッションのために払ってきた犠牲を取り戻している動きなのかもしれません。

世の中の新しいオフィスファッションを知るつもりが、それだけでなくさまざまな角度からの本音が深掘りできた第一回目。次回はどんな「本音」が引き出せるでしょうか? どうぞお楽しみに。


文/Shoko
イラスト/リエコ

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