人間は動物。動かないと身体はケアできない
私は整形外科の先生から「ヘルニア」と診断を受けたときは、「入院? 手術?」と一瞬目の前が真っ暗になりました。それを話すと矢吹先生はこのように教えてくれました。
「実はヘルニアで手術する方は 1割もいません。9割の方は保存療法と呼ばれる、お薬やリハビリテーションを続けることで症状は良くなります。ただし、ヘルニアは再発のリスクもありますので、予防のために、日頃から筋力をつけたり、姿勢を整えるように調整していくことが必要です」
ゆりクリニックでは、個別の症状に応じてプログラムを組みながら、理学療法士による運動器リハビリテーションを行っています。週に1、2回、20〜40分程度のプログラムをこなすことで、自然と運動習慣も身につき、症状も改善に向かうとのこと。150日間は保険も適用されます。
「人間も動物です。身体を動かさないとどんどん弱っていってしまいます。
日本人は男性よりも女性のほうが寿命が長いですが、実は健康寿命を比べると男女の差はほとんどありません。つまり、女性のほうが寝たきりで過ごす期間が長いということ。
健康寿命を延ばすためには、正しい姿勢での運動を習慣化することが近道です。理学療法士によるプログラムでは、姿勢のチェックを行い、現在ある痛みの原因を見極め、痛みを緩和し、その後は、筋トレ指導や姿勢矯正を行っていきます。
どこか1カ所身体の痛みが出ると、そこをかばって歩き方や姿勢が崩れ、負の連鎖が起こっていきます。我慢しないで早めに対応していただきたいです」
いくつになっても健やかに過ごすためには、運動習慣は欠かせません。ただし、それも正しい姿勢で行わなければ、逆効果になってしまう可能性があります。そうならないためにも、もし慢性的な腰痛や肩こりなど身体の不調があるならば、先に整形外科で原因を突き止めておくことが大切です。
矢吹 有里(Yuri Yabuki)
ゆりクリニック院長。東京女子医科大学を卒業後、慶應義塾大学の整形外科医局に入局、関連の急性期病院で整形外科全般の治療に携わったのち、東京都済生会中央病院整形外科医長に。整形外科疾患の中にも女性特有のものが多く存在することを実感し、2017年に女性専門の整形外科「ゆりクリニック」を開院。運動器リハビリテーションから体力維持のためのトレーニングまで、女性の健康に寄り添うほか、「骨美容」を提唱し、若い世代からの骨密度維持の大切さを啓発している。
取材・文/熊本美加
構成/宮島麻衣
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