作家・ライターとして、多くの20代~40代の男女に「現代の男女が抱える問題」について取材をしてきた山本理沙。その赤裸々な声は、まさに「現実は小説より奇なり」。社会も価値観も変化していく現代の家族の在り方を浮き彫りにします。

今回お話を伺ったのは、去年離婚を経験された祐介さん(仮名・40歳)。離婚の原因は元妻の散財でした。彼女はエルメスでの買い物にハマってしまい、多いときには月に100万円以上も使っていたそうです。家計を顧みずブランド品に執着した元妻が原因で、同僚に借金まですることになってしまった経緯をお話しいただきます。

 

取材者プロフィール祐介さん(仮名)40歳
職業:証券会社勤務 
家族構成:バツイチ、7歳の娘

 
 

エルメスがトラウマ…「オレンジ色恐怖症」になった夫 


「一時期は、オレンジ色を見るだけで具合が悪くなってました。小さい頃から好きだったみかんすら食べられなくなったんです」

自嘲気味に語り始めた祐介さんは、ちょうど1年ほど前に離婚されたそう。

原因は、ずばり妻の散財。彼女は専業主婦でしたが、毎月夫の給料をすべて使ってしまうほどのブランド物好きでした。散財癖はエスカレートし、最終的に祐介さんは同僚に借金をするまでに。しかもその借金は生活費ではなく、妻が勢いで購入してしまったエルメスのバッグ、バーキンの支払いに充てるためだったというから驚きです。

祐介さんのオレンジ色恐怖症は、エルメスのシンボル的カラーであるオレンジに起因しているよう。元妻の散財は、祐介さんにとって大きなトラウマなのでしょう。

「離婚を決める少し前までは、妻と子どものためにもっと稼がなければならない、頑張らなければならない、と必死になっていました。でもあるとき急に目が冷めたんです。このままだと、僕は一生彼女の金ヅルとして生きていくことになる……と。

離婚は恐ろしく気力体力を削られたし、正直今も養育費やら何やらの支払いがあるのですべてから解放されたわけじゃありません。娘のことを考えると今も胸が痛くなります。でも……別れて良かったです」

力なく語る祐介さんですが、元妻がそれほど散財をするようになった経緯、そして祐介さんがそれを止められなかった男女の不思議な力関係について伺っていきます。