団信とは
団信とは「団体信用生命保険」の略で、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になったときに備える生命保険です。契約者が死亡したり高度障害に陥ったときに、残りの住宅ローンの元本を生命保険会社が銀行に完済してくれるというもの。適用されると住宅ローンの返済が不要になります。
団信の保険料は、保険料相当額が住宅ローンの金利に含まれている場合が多いため、追加で支払う必要はありません。住宅ローンを借り入れるときは団信への加入が必須ですが、例外として、住宅金融支援機構が取り扱う「フラット35」だけは任意となっています。
団信のメリットとデメリット
団信には、主に2つのメリットがあります。1つは、契約者に万が一のことがあったとき、返済義務がなくなるので残された家族に経済的な負担をかけずに済むこと。
もう1つは、所得税の納税義務が発生しないことです。生命保険は、受取人が死亡保険金を受け取った場合は何かしらの税金が課税されますが、団信は所得税の対象になりません。
ただし団信は良いことだけではありません。デメリットとしては、加入後は特約の解除や追加、契約内容の変更ができないことが多くあります。また、所得税における所得控除は対象外となります。
団信の種類
20年ほど前までは、団信と言えば死亡や高度障害をカバーするものしかありませんでした。ですが現在は、その保障内容は多岐にわたり、金融機関や住宅ローンの商品によってさまざまな種類があります。
主なものに、「①特約なしの団信」「②3大疾病保障付き団信」「③8大疾病保障付き団信」「④夫婦連生団信」「⑤ワイド団信」などがありますが、団信に加入できるのは基本的に住宅ローンの契約時だけ。途中で内容を変えることはできないので、吟味して決める必要があります。
相談者の由美子さんは、家を買うなら夫婦共同名義での購入になるかもしれないとおっしゃっていましたが、団信には共同名義で住宅ローンを契約する場合のリスク軽減制度があります。
「夫婦連生団信」と呼ばれるもので、連帯債務者の夫婦で加入できる制度です。どちらか一方が死亡または高度障害になった場合、住宅ローンの残高が全額返済され、ローンの返済義務は残りません。こちらは住宅金融支援機構のフラット35の機構団信で加入することができます。このように、共同名義で住宅ローンを組む場合も、
団信は果たしてお得?
団信契約は、年齢・性別・職業・健康状態によって金額が変わることは基本的にありません。生命保険は一般的に年齢が高くなるほど保険料も高額になるので、20歳でも50歳でも同じ金額を支払う仕組みになっている団信は、年齢が高いほどお得とも言えます。
25歳の人が35年ローンを組めば、完済は60歳。由美子さん夫妻のような45歳の人であれば、完済は80歳です。どちらの方が病気のリスクが高く、恩恵を受ける確率が高いかは明白でしょう。
ただし、50歳を過ぎると健康診断で何かしらの異常が出てくることも多く、審査が通らない可能性も高くなります。また、「3大疾病保障付き団信」や「ワイド団信」などは、多くの金融機関が加入を50歳以下と定めて年齢制限をしています。ネット銀行など、金融機関によっては高年齢まで契約可能なところもあるので、検討する際は情報を集めて比較検討してみてください。
生命保険の見直しも考慮
最後に渋澤より、生命保険の見直しについてもひと言。一般的に、生命保険の死亡保障額は、生活費はもちろん住宅ローンの支払いなども考慮されているかもしれません。また、特定疾病保障を付けると、医療保険などと保障が重複する可能性があります。団信と生保の重複分があるかどうかも確認してみてください。
団信は、住宅ローン完済後に契約が切れてしまいます。そのため、生命保険の見直しも考慮しつつ、子どもの教育資金がかかるうちは繰り上げ返済を後回しにして、団信の特約を確保するなどのマネー設定も考えてみてはいかがでしょうか。
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子
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