ストレスの原因を取り除く重要性
赤井:まずニュージーランドは豊かな自然、適応しやすい気候、穏やかでオープンな国民性がそろっています。多くの人にとって日本よりもストレスを感じるシーンが少ない環境と言えます。
そして、学校や大学に入るための受験戦争もなく、高校3年間は将来の道をじっくりと考えるためにさまざまな選択授業を取り、次のステップを決めていきます。日本のように「とりあえず大学へ」という考え方はありません。
またニュージーランドは「過去のことよりも未来のこと」を大切にする考え方を持っています。この国には独自の留学生特別支援プログラムがあり、英語力が高くなくても留学をスタートすることができます。そして日本の内申点は関係ありません。この特別プログラムを利用すればこれまで不登校だったとしても道が拓けています。
このプログラムでは最初の1年間は日本人のクラスメートと語学学校で生活に必要な英語力、高校の授業についていくための英語力を身につけます。高校1年生の単位も取得できます。そして翌年から現地の高校に高校2年生として入学し、そこから2年で高校卒業資格を取ることが可能です。スモールステップで現地の生活に馴染んでいけるシステムがあるんですね。もちろん私たちや、現地スタッフが継続的にサポートをします。
このような背景から、たくさんの不登校生が自分の居場所を見つけています。
高校卒業後の進路は?
――なるほど、それで不登校生や、うまくなじめずに通信制高校を検討していたご家庭の選択肢にも入ってくるということですね。では、卒業後はどのような進路をとれるのでしょうか?
赤井:そのまま海外の大学に進学する子もいますし、日本に戻って帰国生入試に挑戦する子も多いです。日本の大学の約70%に帰国生入試がありますので、国公立をはじめ早慶、上智、ICU、GMARCH、関関同立、日東駒専などの名門校に進学する道も拓けているんですよ。
――それは朗報です。不登校生に限らず、国際的な環境に身を置いて、生きた語学力を身につけたいお子さんにとってとてもいい仕組みですね。……でもきっと、お金がとてもかかる気がしますが、いかがでしょうか?
酒井さん(以下敬称略):確かに安くはありません。ホームステイ費と授業料、生活費を考えると、1年で400万円~500万円ほどです。しかし他の国に留学しようと思うと、融通がきく私立高校を選ぶことが多く、そうするとさらにかかるはずです。低金利で長期間返済が可能な教育ローンを組む方もいらっしゃいます。確かに高額ですが日本で私学に通い、塾に行き、生活費やお小遣いとなるとそれもお金はかかりますから、環境を変えられる機会のために大切なお金を投じるという選択肢もあっていいのかなと思っています。
――確かに高額なのでどなたでもできるというわけではありませんね。でも、不登校で悩む方が、「環境を大きく変えることで新しい自分に出会い、気力や体力が回復することがある」「不登校になって、絶対無理だと思っていたことでも、一歩を踏み出したら状況が改善した」というたくさんの事例はとても心強いです。
酒井:はい、子どもたちは、自分の力をもう一度信じ、認めることでまた歩くことができます。大切なことは、自分で決めること。そのことが自己肯定感を高め、新しい環境に飛び込む力になると思います。
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