母は、きれいなものが好きな女性だった

髪はボサボサ、爪はガジガジ...娘の私が守りたかった、母の「美意識」という尊厳【福本敦子×森田敦子】_img0
 

美容コラムニスト・福本敦子さんが、植物療法士・森田敦子さんとの対談を交えながら、「人間として生きること、また自分の“性”を持って生きるということ」を考えた共著『気持ちいいがきほん』。大好きなお母さんが病気になり、旅立ちのときが近づくなかで、福本さんはお母さんのある姿を思い出していました。それは、「美」に対する向き合い方です。

「今思えば、“洋服や花が好きな母の、美しいものを愛でる気持ちや感じる心がきれい”と私も感じていたんだと思う。母はファッションや美容の仕事をしていた女性ではなかったけれど、明らかにきれいなものが好きな女性だった」。そう、お母さんのことを振り返る福本さん。

 

病院に行くにも、お母さんはきちんと身なりを整えてから出かけていたそうです。ですが、自分で歩けなくなると、髪の毛はボサボサになり、足の爪も少しガタついていて、福本さんは「このままじゃいけない」と思ったのだそう。

もし、病気になることも人生の一部だとしたら、問題は病気そのものよりも、そうなったときにどんな過ごし方や在り方をしているかも同じくらい大切なのではないか? 過ごし方、在り方がその人の存在や、尊厳を肯定することに繫がるのではないかな……。とも。

美意識と、それがあるうれしさを私に教えてくれた母からそれが失われそうになっていることにショックを受けた分、「そういうことを絶対に大切にしたいし、してあげたい」という底力のような怒りにも似た思いが自分の中に走った。

植物療法士・森田敦子さんとの対談が収録された本書から、今回は福本さんがお母さんの介護で考えた「自尊心」について、一部抜粋してご紹介します。

髪はボサボサ、爪はガジガジ...娘の私が守りたかった、母の「美意識」という尊厳【福本敦子×森田敦子】_img1
 

福本敦子(ふくもと あつこ)さん/写真左
美容コラムニスト。オーガニックコスメ黎明期のコスメキッチンに14年間勤務後、独立。心地よいリズムの語り口で紹介する「#敦子スメ」は、「読んだ瞬間試したくなる」と反響を呼ぶ。近著に『気持ちいいがきほん』(光文社)がある。【Instagram】@uoza_26

森田敦子(もりた あつこ)さん/写真右
株式会社サンルイ・インターナッショナル/Waphyto代表。大学入学を機に上京し、在学中には中国への交換留学を経験。卒業後は航空会社で客室乗務員の仕事に就くも、気管支疾患を発症する。その治療として植物療法に出会い、本場のフランスで学ぶため退職し渡仏。フランス国立パリ13大学で植物薬理学を学ぶ。2022年には、ELLE誌が選ぶ「世界を変える女性100人」に選出。【Instagram】@atsuko1705

第1回「「お母さんは元気だから大丈夫よ」。病床で笑ってくれた母との、最高の終わり方【福本敦子×森田敦子】」>>