心が疲れたときに読みたい絵本➊
「今のままでいいんだ」と安心させてくれる『ちいさなトガリネズミ』
「『ちいさなトガリネズミ』は今年の私の誕生日に姉がプレゼントしてくれた絵本です。
働きモノのトガリネズミが主人公で、職場に電車で行って、帰りにパンを買うのが楽しみというルーティンが描かれ、ルービックキューブが揃って嬉しかった、年末に友達が訪ねてきて、みんなで歌っていい年だった、で終わり。
でも、トガリネズミの淡々とした静かな日常に触れると『ああ、このままでいいんだ』と思うことができて、心のザワザワがなくなっていくのがわかります。毎日を粛々と歩んでいくことで、自分の幸せは自分で作ることができる。そう気づかせてくれました。トガリネズミのきょとんとした表情もとても可愛らしくて。絵本というと子どものもの、そんなイメージもありますが、これは特に大人にこそおすすめしたい1冊です」
心が疲れたときに読みたい絵本❷
文字のない『ふしぎなえ』の世界に身を委ねてると心が整っていく
「安野光雅さんといえば『旅の絵本』や『はじめてであうすうがくの絵本』も好きで、ちょっとずつ買い集めていますが、心が疲れたときに読むなら『ふしぎなえ』をぜひ。絵だけで文字がないので、読むというよりは眺める絵本です。
階段をあがって上の階へ行ったかと思ったら、そのままさらにあがると元の階に戻っている――だまし絵のような世界が細やかに描かれています。その絵のクオリティの高さはもうアート作品。もともとは息子のために買ったのですが、気づけば私が眺めていることも多くて。見るときはあれこれ考えずに、ただただ『不思議だなあ』という感覚に身を委ねてみる。そうすると次第に心が整理されていくんです。
子どもと一緒に読むときはまた違った楽しみ方を。文字がないからこそ、自分たちでストーリーを考えることもできるうですよね。この人はああでこうで……なんて。思いもかけない子どもの柔軟な発想にハッとさせられることがよくあります」
心が疲れたときに読みたい絵本❸
押しつけがましくない、心地よさがある『てぶくろ』
「『てぶくろ』は子どもの頃に大好きだった絵本です。たぶん今でも実家には読み込んでボロボロになったものがあると思いますが、数年前に「クレヨンハウス」で見つけて購入しました。大人になって改めて読んでみたら、なんて可愛らしいレトロな雰囲気の絵本なんだと感激。色使いも素敵ですよね。
この絵本も特に何か大きなことが起こるわけではありません。人間のおじいさんが森で落としたてぶくろに、ねずみが住み込み、その後いろんな動物が『わたしも入れて』とやってくるけど……。『……』と意味深に書きましたが、特に大どんでん返しはなく、終わりますのでご安心を(!?)。
子どものときは深読みしたりはせず、小さいはずのてぶくろにぎゅうぎゅうに動物たちが入っている様子が面白かった気がします。大人になって改めて読んでみると、何かを押しつけてくるわけでもなく、淡々と進んで淡々と終わっていくところが心地よくて。押しつけがましくないからこそ、自分の気持ちで解釈することができるんですよね」
「絵本3冊、読んでみたいと思った作品はありましたでしょうか。次回は、煩悩に塗れた私の心を清めてくれる本(笑)など、おすすめを3冊紹介します。お楽しみに」
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構成・文/幸山梨奈
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