毎日エネルギーを費やせる仕事があるのは、ハッピーなこと
デビューした19歳から年2回(!)、ずっと休まずにコレクションを発表しているという鳥居さん。「一度も仕事のペースを落とそうと考えたことはありません。それが私の使命ですから」と断言し、今もなお情熱を燃やし続けています。
その原動力はどこからくるのか。ファッションという華やかに見える舞台裏で、日々真剣に仕事と向き合う鳥居さんの次のメッセージに、その答えが集約されているような気がしました。
「イメージを組み立てるために、ずっと続けている方法があります。まずは常にアンテナを張り巡らし、自由にものごとを見る。ピンとくるものを軸に、お客さまの写真、好きなポストカード、孫の書いた絵、リボンやレースなどをアトリエの壁にピンナップしていきます。
その壁を眺めながら、幾通りもの組み合わせを思案して、イメージを練り上げます。そして自分にできる方法と照らし合わせ、そのイメージを形に表現していきます。
その地味な作業を60年以上繰り返してきました。コツコツとやり抜くしか道はないのよね。喜びはほんの少しかもしれない。けれど毎日エネルギーを費やせる仕事があることがすごくハッピーなの!」
——『80歳、ハッピーに生きる80の言葉』より
「喜びはほんの少しかもしれない」。ああ、鳥居さんだってそうなんだ……! と共感しながらも、その少しの喜びに到達するために毎日があるのだなと、襟を正す思いで受け止めました。今年80歳の鳥居ユキさんは、2023年10月13日に「2024年春夏コレクション」を発表。華やかでハッピーな雰囲気をまとった洋服たちを、今もその手で生み出し続けています。
著者プロフィール
鳥居ユキ(とりい・ゆきさん)
1943年東京生まれ。60年以上のキャリアを誇るファッションデザイナー。1962年に19歳でのコレクションデビュー以来、1回も休むことなく新作を発表し続けている。1975年から2008年までパリでも年2回のコレクションを発表していた。そうした自身のブランド「YUKITORII」のデザイナー活動に加えて、インスタグラムを通してお客さまにさまざまな情報を発信している。2006年に日本版『Newsweek』にて、”世界が認めた日本人女性100人”に選出される。株式会社トリヰは、母から引き継ぎ、現在は娘の真貴が社長を務める。
『80歳、ハッピーに生きる80の言葉』
著者:鳥居ユキ 主婦と生活社 1760円(税込)
今年80歳を迎えた、日本を代表する世界的ファッションデザイナーの鳥居ユキさん。19歳でファッションデザイナーとしてデビューし、デザイナー生活61年目となる鳥居さんが大切にしていることは、1日にひとつ“ハッピーの種”を見つけることでした。生活のこと、健康のこと、装いのこと、そして仕事のこと。鳥居さんの「80の言葉」から、ハッピーの種を見つけるヒントがもらえる一冊です。スタイリッシュな鳥居さんのファッション、私生活のスナップ、愛用品も多数掲載!
構成/金澤英恵
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