──「そこで何が起こっているのか?」は、流通の問題と重なるかもしれません。

ペットショップやブリーダーの問題は、その流通の過程で死んでいる子が多すぎることなんです。「商品」にならない子は、そのまま放置されて終わりなんですよね。施設の中で生まれて病院に行くこともなく死んでいくので、記録が残ることもありません。日本のペット業界の闇は、世の中が考えているよりずっと深刻です。

ですから私はペットショップは廃止すべきだと思っています。殺処分ももちろん大きな問題ですが、虐待のような状況で死ぬまで飼われていることは、場合によっては殺処分以上の苦痛を強いられているようにも思います。


──ペットショップと殺処分の関係についてはどうでしょうか?

そこは分けて考えるべき問題だと考えています。数字的なデータでも私の肌感覚でも、ペットショップで売られている血統書付きの子は、年を取っていても、病気でも、たいてい里親が見つかるんです。結局、殺処分にされている子のほとんどが、乳飲み子とか、野良犬や野良猫なので、「ペットショップ廃止=殺処分が減る」という風に直結した問題ではないなと。

これは行政だけでなく、私たち民間も積極的に考え、解決に努力してもらわなければいけない問題だと思います。保護活動者としては今、目の前にいる子を保護をするのはもちろんですが、同時にいろいろな啓発活動をしていかなければ、と思っています。

──最近では、保護猫、保護犬の譲渡が一般的になり始めていますよね。

そうですね。メディアなどで取り上げられることも増えているようですが、その浸透と同時並行して、ペットショップが保護活動者をかたって、「商品にならない子」をいかにも「かわいそう」に見せかけて、寄付金という名目で上乗せした高い譲渡金で譲渡する「保護犬・保護猫ビジネス」みたいなのも生まれています。

何をもって保護犬、保護猫というか法律的な基準がないので、いくらでもそういうことができてしまうんですよね。動物に関わる一人ひとりが、そういう部分もしっかりと考えていかなければいけないと思います。

※ちなみに、非営利の保護団体や保護活動家は、譲渡の場合に利益を出してはいけないことが法律で定められている

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盲目でてんかん持ち。保護当時は真っ赤に鼻を腫らしていた“こいちゃん”。