③監督たちを魅了した、滋賀県民が愛する「とび太」の活躍

『翔んで埼玉』続編が“2作目は駄作”の定説を覆す面白さ!前作超えを叶えた7つのポイントは_img0
『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』2023年11月23日(木・祝)全国公開 配給:東映 ©2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

和歌山の白浜で出会った麗と桔梗は、和歌山で野生のパンダ、奈良の鹿など、各県のアイコン的な動物に遭遇し、滋賀へとたどり着きます。滋賀で遭遇したアイコンは動物ではなく、人型の看板「とびだしとび太」(通称「とび太」)でした。とび太は東近江で発祥した交通安全の人型看板。とび太を設置したことで、滋賀県の交通事故数は激減し、いつしか滋賀県の人口と同じ140万体ものとび太がいるとかいないとか。

本作の監督・武内英樹、脚本・徳永友一、プロデューサー・若松央樹の3人は、関西をシナハン(台本を書くための取材)中に偶然とび太に遭遇し、「これは使える!」と脚本に登場させました。そのクリっとしたつぶらな瞳と、己の責務に対する実直さ、140万体にいつのまにか増殖していたキャラクターがじわじわと監督たちの心を侵食し、劇中にはなんと150体のとび太が登場します。彼らが表情を変えることなく頑張る姿に、きっと胸を打たれることでしょう。

 

④日本映画ではレア! リアル夫婦が夫婦役で共演

『翔んで埼玉』続編が“2作目は駄作”の定説を覆す面白さ!前作超えを叶えた7つのポイントは_img1
『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』2023年11月23日(木・祝)全国公開 配給:東映 ©2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

大阪府知事・嘉祥寺晃に大阪府堺市出身の片岡愛之助を、その妻の神戸市長に兵庫県西宮市出身の藤原紀香をキャスティング。もともと大阪府知事と神戸市長は夫婦ではありませんでしたが、せっかくの夫婦共演だからと夫婦関係に変更して脚本を練り直したところ、それを片岡&藤原夫妻がおもしろがってくれたそうです。

神戸市長と浮気相手の京都市長(川崎麻世)が、イチャイチャしているところに嘉祥寺が入ってきて……というコメディも、片岡と藤原がリアル夫婦であることが笑いを倍増する効果を生んでいます。この設定に乗っかって楽しんで観客をエンターテインする片岡&藤原夫妻、素晴らしく粋です。

⑤大阪にまつわるすべてがギラギラ&コッテコテ!

『翔んで埼玉』続編が“2作目は駄作”の定説を覆す面白さ!前作超えを叶えた7つのポイントは_img2
『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』2023年11月23日(木・祝)全国公開 配給:東映 ©2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

麗たちの前に立ちはだかる嘉祥寺は、「日本中を大阪にする」という野心を持つ危険な男。「滋賀作の分際で道頓堀にダイブしたやと!?」「甲子園に放り込んだろか!」など、セリフのパンチ力がいちいち強い。演じる片岡の鍛え上げた喉から放たれる通る声、白塗りメイクに負けない表情筋、そしてグリッターな衣装が、嘉祥寺の悪の帝王感を揺るぎないものにしています。

嘉祥寺が麗に無理やりたこ焼きを食べさせるシーンでは、前作で麗と千葉解放戦線のリーダー・阿久津の間に見られた、BL的な特濃の絡みも目撃できます。また、麗や埼玉&千葉解放戦線のメンバーが、謎の粉が原因で徐々に大阪人化していくシーンでは、吉本新喜劇へのオマージュも。甲子園地下の工場や通天閣前などのセットには、何度も見返したくなる小ネタが満載です。