漫画『パリピ孔明』が実写ドラマ化すると聞いたとき、正直戸惑った方も多いのではないでしょうか。私も思っていました、「あの格好、実写だとコスプレ感が強すぎるんじゃ?」「アニメも大ヒットしてる中、実写化!?」と。一方で「向井理ならうまいことやってくれるのかな?」という期待もありました。

でも放送が始まると、第1話からめっちゃよかったし面白かったし、最終回を迎える今までずっと素晴らしい。余計な心配をしてすみませんでした! という気持ちです。というわけで、ドラマ『パリピ孔明』の魅力をあらためて振り返りたいと思います!

 


向井理の、違和感を感じさせない万能感。アラフォー俳優たちの実写適性がすごい


まず、この作品は昔の中国、三国志の時代から孔明(諸葛亮)がタイムスリップしてきたという設定で、当然孔明の格好をして現れます。第1話で彼が現れたときは、いやさすがに無理があるだろう……と思いました。見た目が怪しいし、戸籍もない。でも、ライブハウスBBラウンジのオーナー・小林(森山未來)は三国志オタクだったこともあり、あっさり孔明をスタッフとして雇い、倉庫に住まわせる。また、英子(上白石萌歌)から借りたスマホでSNSやキャッシュレス決済の使い方を瞬時にマスター。さらに、バーカウンターでドリンクを作るシーンは中の人・向井理のバーテンダー経験も活きて、瞬く間に現代に馴染んでしまいました。

その後も衣装をコインランドリーで洗っていたり、帽子を被ったまま敵の会社に潜入したり、ツッコミを入れたくなる場面は数知れないのですが、孔明が現代に存在することに対しては違和感を感じなくなってきてしまったからすごい。製作陣はもちろん、向井理さんの不可能を可能に見せる力、万能感というべき説得力にうならされます。

孔明の本来の世界で主君だった劉備を演じるのはディーン・フジオカ。高貴な雰囲気やものごし、そして元々しゃべれる流暢な中国語で語られるセリフや一部ナレーションもぴったり。まさに彼のための役のように感じます(本来ミュージシャンとしても活動されている方なので、音楽的な絡みがないのは残念だけど)。

BBラウンジのオーナー・小林役の森山未來もいい。一見いかつい外見ですが、面倒見のいい人物で、英子や孔明を窮地から救い、自分の店で雇っています。三国志あるあるは全然わからないけれど、今の森山未來だからこそ出せる、絶妙な渋さがかっこいい。8話で明かされた彼の過去のエピソードも大変よかった。ギタリスト時代、とある件がきっかけでギタリストをやめ鉄砲玉になり、返り血を浴びたり刺されたりするところは別の作品を見ているような満足感でした。

3人とも40歳前後のアラフォー世代。彼らが地に足ついた役だけでなくゴリゴリの実写を見せてくれることは、これからの彼らの役、これから世に出る作品にも新たな期待が持てて素晴らしいと思いました。