クオリティが高いだけじゃない。”音楽の存在する意味”を伝える力

作中の曲のクオリティが素晴らしいのです。英子が初めて作ったオリジナルソング、「DREAMER」はシンガーソングライター・幾多りらによる作詞作曲で、上白石萌歌の歌もとんでもなく良いです。でも、『パリピ孔明』に出てくる曲はただクオリティが高いだけではありません。「DREAMER」は英子の物語を歌った歌ですが、ときには八木莉可子演じる七海たちのアイドルユニット「AZALEA(アザリエ)」メンバーの原点の映像とともに歌われ、彼女たちは自分たちが本当にやりたかった音楽を再認識するのです。

 


また体調不良の英子の代わりにTV番組に出ることになったミア西表(菅原小春)によって歌われた時には、ダンスのミュージックの印象が強い彼女が本当は歌に力を入れたいという気持ちが痛いほど伝わってきました。

英子の2曲目のオリジナル曲、「Time Capsule」も、英子が家族を思って歌った歌であることはもちろん、オーナー小林の人生にも馴染む曲でした。

音楽は、作った人の気持ちや物語が込められているけれど、聴いたり歌ったり演奏したりする人たちにとっても、それぞれの物語と重ね合わせて意味を持つことがあり、より心に刻まれ大切なものになっていく。だからこそ、どうしようもなく心を動かされる。

『パリピ孔明』は、単にクオリティの高い楽曲を用意するだけでなく、登場人物それぞれの背景なども大切に描いたことで、先ほど述べたような、音楽がどう人と関わるかという部分、存在意義となるような部分まで伝わる作品であるところが本当に素晴らしいし、音楽って最高だなと再確認させてもらいました。もっともっと彼らのステージを観ていたかったです。
 

『パリピ孔明』が教えてくれた「向井理の万能感」と「音楽の力」。ビジュアルの違和感すら霞むその魅力を振り返りたい!_img0
 


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