全集中“狩りの呼吸”でとらえる。
「チャンスの神様は前髪しかない」は、好機はすぐにとらえないと、あとからとらえることはできない――という意味で使われる古代ギリシアのことわざ。
この“とらえる”ですが、ここではcatch=捕まえるであると考えます。そう、猫たちの得意技です。彼らにとって動くものは、動物性たんぱく質。すなわち獲物=食糧だと認識して、全集中で追う習性をもつ猫は、まさに“とらえる”のプロ。
そんな猫たちですが、実は視力が悪く、ヒトの10分の1程度の近視。では、なぜ機敏に反応できるのかというと、全視野が約285度とヒトの約210度に対して、より広い範囲を見渡すことができているから。目標物を見つけたら、優れた瞬発力と跳躍力を発揮して、それが神様の前髪であろうと、すべてむしり取る勢いで、全力で向かっていくことでしょう。
このように、猫にとっての“とらえる”は、対象や目的が獲物ととても明確。そして、広い視野を持って対象に関する情報を得たら、躊躇うことなく飛びかかることで、自分のものにする確率をグッと高めているのです。
我々ヒトの場合も、まず自分がとらえたいものが何なのかを明らかにしておくだけでも心の準備ができるでしょうし、それが目の前をかすめたとき、素早く手を伸ばせるようになるのではないでしょうか。仮に、勢い余って間違えたものをキャッチしてしまったとしても、あとでリリースしてもいいし、実はそれが、意外といいものだったなんてこともあるかもしれません。
自慢の跳躍力を惜しげもなく披露する猫たちは、「行動した後悔よりも、行動しなかった後悔のほうが大きいし、あとを引くよ!」と、去り際にアドバイスを残していくのでした。
今日も猫にならって、マインドフルな1日を。
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文/高木沙織
編集/吉川明子
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