ひとりぼっちの似合う人たちに惹かれてしまうのかもしれません
——内田さんは母親の樹木希林さんからも「面白い大人と出会いなさい」と言われていたそうですが、「この人、面白そうだな。会いたいな」と思う人に何らかの共通点はあると思いますか?
内田:いい意味で自分勝手な人でしょうか……。うちの父みたいに破天荒である必要はないけれど(笑)。人の目を気にせず、体裁は置いておいて、自分が好きなものに正直で、人と違うことを何らおかしいと思わない。人はみんな違って当たり前だし、群れずに一人で立っていることを心地良いと思える。それが今回お会いした方々の共通点かもしれません。でも、皆さん、他者と集まったときにはコミュニケーションを楽しむことができる方々。私は一人っ子で、子どもの頃から強制的に一人でいた時間が長かったので、今でもひとりぼっちが嫌で、ご飯を食べるなら誰かと一緒に食べたいと思ってしまうんですよ。でも、この本で出会った人たちは、私の母のように、美味しいご飯こそ一人で食べたいと思うようなタイプじゃないかと思うんです。要するに、自分自身と仲良くできている人たち。だからこそ、相手をリスペクトして対等に接することができる。今の私は、まだそこに到達できていないですね。
——寂しさや孤独を面白がれる人に憧れるのでしょうか?
内田:そうかもしれませんね。ひとりぼっちの似合う人たちに惹かれてしまう傾向はあります。自分の歩いてきた足取りを面白がれる人は、知名度を問わず、かっこいいなって思います。職業も問わず。主婦にも面白い人はいますよね。私も基本は主婦だし、その役目にお給料は出ないし、なかなか何かを成し遂げたような感覚が得られないんだけど、そんななかでも自分の目を信じている人と出会って感動することがあります。
——5年前、大切な存在を失って空っぽだった内田さんの胸の内は、今は何かで埋まったり染まったりしている感覚はありますか?
内田:今でも空白は残っているし、それがあるから前に進める部分もあるんですよ。でも、やっぱり年齢を重ねたことで、親を亡くす前だったら聞き漏らしていたような言葉をちゃんと心の栄養にできている感覚はあります。今だからこそ染みる言葉があるし、肉体は少しずつ退化しても新しい感覚に出会えていることに高揚感がありますね。
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