『ムービング』

【2023年エンタメベスト】家族に“アイラブユー”をどう伝えるか?日本と海外、そのお国柄の違いも面白い!_img0
『ムービング』 ディズニープラス スターにて全話独占配信中 © 2023 Disney and its related entities

欧米作品の「セックス・エデュケーション」の家族の愛が「I LOVE YOU」と伝えることだとしたら、韓国ドラマの「ムービング」の家族たちは、「愛してる」という言葉を使わずに愛を伝えます。

 


超能力を持つ少年少女たちとその両親たちが、その能力をスパイ活動に利用しようとする国家機密部と戦うアクションもの。スパイや殺し屋によるアクションシーンは毎回「イタタタタタ……」となるので、痛い描写や流血が苦手な人は注意です。

このドラマ、私の敬愛する松本隆先生が「今年のナンバーワンドラマ」とXでポストされていたので張り切って観出しましたが、6話までは、「これが? そこまで?」と思っていました。が、高校生の子どもたちをメインにした序盤からその親たちのストーリーに入った瞬間、めちゃくちゃ話に引きこまれ、止まらなくなります。

なぜ親たちがあんなに子どもたちを心配して愛していたのか。その裏にある彼らの物語が語られ始め、冴えないフライドチキン屋のオジサンだと思っていた父親や、トンカツ屋を経営する地味なお母さんが、実は凄腕のスパイだったことがわかり、「かっこいい!」となるのです。親たちは子どもを守るために、あえて世間から気配を消して生活していた。それに気づくとすべてのシーンが涙なしには観れなくなり、子ども編から大人編へと話を紡いだドラマの構成がすごいな〜、と感動します。

「子どもを守るためなら親は怪物にもなるのよ」。このセリフが胸に迫ります。国家機密を守るスパイと、生活臭に溢れた家族愛のギャップ。これは今回このラインナップに入れるか最後まで悩んだNetflixの韓国映画「キル・ボクスン」と同じテーマ。「スパイ・ファミリー」然り、今のエンタメ界のトレンドのようです。

そして子どもパートも大人パートも、恋する気持ちがすごくピュアで心洗われつつ、殺しの場面でドキドキ、ヒヤヒヤ。

高校生のヒロイン、チャン・ヒスを演じるのは「還魂」シーズン2にも出演していたコ・ユンジョンで、その可愛らしさも話題ですが、私の好みは、主人公のキム・ボンソクの母親役・ハン・ヒョジュの、繊細な美しさ。顔のすべてのパーツが小さくて整っていて、ずっと観ていても飽きない顔でうっとり♡

全20話ですが、1話40分程度と短いので、年末年始に一気見するのにいかがでしょうか。あ、最終話のエンドロールは最後まで見てくださいね!