ドラマ『大奥 Season2』

ドラマ10「大奥 Season2」(NHK)公式サイトより。

誇張ではなく、本当に毎週涙してしまったのがこの作品。よしながふみの原作漫画が素晴らしいことはもちろん、その物語をドラマの1クール×2に詰め込んだ製作陣、絶妙なキャスティング、そして演技……。もう、すべてが素晴らしい。各時代のユニークで魅力的な登場人物たち、恐ろしい人物、嫌な人物……どの役も絶妙すぎました。

 

どうしても期間の関係で駆け足にはなってしまったものの、それでも内容が薄く雑になるわけではなく、しっかり毎回心を打たれていました。この国をより良くするためには、みんなが幸せになるためにはと、いつの時代も懸命に自分の使命に立ち向かっていた人たち。中には私利私欲のことしか考えない者、人の悲しみを喜んだり足を引っ張ったりする者もおり、”怪演”に震えたことも何度もありました。

でもそれ以上に、人は人がいるから生きていけるのだということや、身分や立場や性別を超えた人と人との絆を感じさせてくれた作品でした。

数え切れないのですが、さまざまなシーンがよみがえってきます。蘭学医として疫病・赤面疱瘡の撲滅のために尽力した青沼(村雨辰剛)が、理不尽な死罪に処される間際でも、異国の血が入っていて疎まれた自分が、源内(鈴木杏)や田沼(松下奈緒)、黒木(玉置玲央)ら多くの人に出会ったことで、たくさんの人に「ありがとう」と言われる人生だったことを思って微笑むシーン。

実の父から虐待を受けてきた家定(愛希れいか)が、夫婦となった胤篤(たねあつ・福士蒼汰)への想いを自覚して、目に涙をため、声を震わせながら「好きだ」と伝えたシーン。弟の身代わりとなって江戸へ降嫁してきた和宮(岸井ゆきの)が、家茂(志田彩良)の死にざまを知り、彼女が自分のために用意していた打掛を羽織りながら話し、最後に「私のそばに……おればよかったやないの」と慟哭するシーン。

個人の結末はハッピーエンドではないことのほうが多いのですが、それぞれの出会いが救いとなり、お互いの光となるような物語に胸を打たれました。最終回で瀧山(古川雄大)が語ったように、「この上ない喜びも、出口の見えぬ悲しみも」どちらも見せてくれた作品でした。