ドラマ『なれの果ての僕ら』
真田透(愛称ネズ/井上瑞稀)たち23人は母校の小学校で行われた同窓会に参加し、元同級生の夢崎みきお(犬飼貴丈)に監禁される。すでに一人は殺されており、外部への通信や外に逃げることも不可能。逃げようとしたら罠にかかって死ぬし、みきおの命令に反しても殺される。3日間で13人が死亡したこの事件。絶体絶命の極限状況の中、彼らがとる行動とは。
ちょっとあらすじを読んだ時点ですでに内容が怖そうだし、殺人や血まみれのシーンを観るのは怖い。筆者もそんな不安はありましたが、2022年に『女子高生に殺されたい』『ビリーバーズ』『よだかの片思い』『夜、鳥たちが啼く』など数々の面白い映画を連発していた城定秀夫が監督・脚本を担当。もちろん目を覆いたくなるようなシーンはありますが、しっかりと人間が描かれており、毎回怖さより面白さが勝っていました。TVドラマのサイズで完結できるよう、原作のストーリーとはところどころ違う部分があり、その調整が絶妙だったと思います。
試されるような命懸けのゲームの連続に、昔の恨みを思い出す人、命乞いをする人、色仕掛けをする人、疑心暗鬼になる人、自暴自棄になる人、裏切る人。観たくなかったような顔が次々明らかになり、何でこんなひどいことを…という気持ちになるけれど、同時に自分が同じ立場だったら人のことが言えるのだろうか、自分だって同じ状況だったら同じことをするのではないかと常に自問自答しながら観ました。こんな同窓会、嫌すぎます。
個人的に特に印象的だったのは、山口茉莉花(中村里帆)と石井礼夏(工藤遥)。山口は自分をいじめていた人たちが謝ってくれるのではと期待するも、相手がそのことを覚えてすらいなかったことに絶望。いじめていた一人を毒殺します。ここまでは原作と一緒ですが、みんなが行われた裁判で毒殺刑になり、自ら毒を飲んで死にます。こういうシーンに対する言葉として適当かはわからないけれど、死に様がかっこよくて心に残りました。うまく表現できないので、ぜひ映像で観ていただきたいです。原作も読んでいたのですが、個人的には好きな改変でした。
石井は親友の月岡(吉田伶香)に裏切られ酷い目に遭い、怒りや悲しみの感情を爆発させる役。筆者は工藤遥さんをモーニング娘。時代から応援しているのですが、彼女の負の感情爆発というか、キレたりいっちゃってたりする演技が大好きなので、「こういう工藤遥が観たかったんだよおおお!!」と歓喜しておりました。最高でした。役といえど推しが死ぬのを観るのはつらすぎたけど、こちらもかっこいい死に様でした。
その後のナレーションが個人的には不本意だったけど、観た人はそうじゃないことはわかっているはず。ちなみに長谷部が嫌な奴すぎて、佐久本宝さんの演技力に脱帽です。映画『怒り』では優しい子だったのに。
来年も、期待以上の世界に連れていってくれる作品と出会いたい!
今回挙げた作品は、どの作品も観る前の予想や期待を超えて素晴らしかったです。ストーリーが面白そうだったり、好きな俳優さんが出ていたりすると観る前からめちゃくちゃ期待しつつ「こんな感じかな」と良さを想像することもあります。良い作品はそんな想像を飛び越える驚きをくれます。その想像を超えてきたとき、その作品に感動するのだと思います。やっぱり観ないとわからないから、これからもそんな作品に出会う機会を少しでも多く作っていきたいです。
そして、今回たまたま原作ものが多かったです。特に原作が好きな場合、映像化に抵抗を感じたりなかなかそれは超えられないなぁと思ったり、原作と違う部分が受け入れられないこともあります。一方で、映像化したからこそより作品の魅力が伝わったり、新たな魅力に気付けたり、原作と違う部分があってもこれはこれでアリだなと思えることもあります。今回挙げた作品たちは、個人的にそう思える作品でした。
本当はまだまだ語りたい作品があります。来年も迷っちゃうくらい、大好きな作品とたくさん出会えますように!
構成/山﨑 恵
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